『無理に思い出さなくてもいい。』
ぼんさんの言葉が、俺の胸にスッと入っていった。
もう、罪を否定しなくていいや。俺とあいつの間に何があったかなんて、もう関係ないや。
ぼんさんは、俺をチラッと見るなり、煙草を差し出してきた。
俺はそれを受け取って、火をつけてもらう。煙草の味は、俺の罪の意識を消し去ってくれた。
「……俺、ぼんさんにお願いがあります。」
ぼんさんは煙草の煙をフーッとはいて、「どうしたの。」と言う。
「俺を、ぼんさんの手下にしてほしいです。」
俺は、いつの間にかぼんさんの考え方に惹かれていたようだった。
ぼんさんは軽く目を見開いた。そして、あははっと笑う。
「そっか、そっか。」
そんなことを言いながら、煙草を吸い続けている。
「良いんですか?ダメなんですか?どっちなんですか。」
「良いよ。その代わり……。」
ぼんさんは、煙草を地面に擦りつけて火を消す。
「俺の後悔の束縛を、といてくれない?」
後悔の束縛?どういうことだろう。
そう思うと、ぼんさんはその後悔の束縛について話してくれた。
俺は、後悔に束縛されている。その後悔は、今ではもう叶わない。
だから、おらふくんが俺の手下になるというのなら、俺はおらふくんを喜んで利用する。
そうすれば、おらふくんは”俺と同じ人間”にはならない。
おらふくんは、この後、後悔することはなくなる。
“利用”その言葉に背筋が凍るような感覚を覚える。
やっぱり、ぼんさんは悪い人なのか。
「俺の後悔はね………。」
その言葉を聞いた俺は、気づいたら目から涙があふれていた。
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ぼんさーん!(´;ω;`)