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「ねぇ、恋樹君。」
「…なんですか?」
「君はね、きっと神の子なんだよ。その目と髪の毛が何よりの証拠だ。」
「…だから、私を裏切らないでくれよ」
「…わかりました。」
幼い頃によく言われた。僕は神様の子らしい。
この水色と桃色の瞳と、水色と紫色の髪がその証らしい。
だけど本当に…
「意味わかんない…」
どうして僕は生まれたの?どうして僕の瞳と髪は他の人と違うの?
ただ神父様が信じてる神様と似ている容姿というだけで、神様の子なんですか…?
「…わかんないや。」
「何が分からないんですか?」
「!?」ビクッ
「だ、誰!?…です、か?」
「あっ、失礼しました。僕は見習い天使です。以後お見知り置きを。」
「み、見習い天使…?翼…黒いけど…」
「あー、これは…色々あったんです。 」
「一応天使ですよ。」
「て、天使…」
嘘っ。天使様は本当にいたんだ!
「て、天使様!」
「て、天使様ぁ!?なぜ急に様付け!?」
「僕知ってます!天使様は神様の使いなんですよね!なので尊い者なのです!」
「だ、だから様付け…ですか?」
「はい!というか神父様が、僕は御上品に生きないと駄目だから人には様付けしろと言っておりました。」
「その教えを僕は聞いているだけなのです。」
「こ、ここってそういう所なんですか?宗教みたいな感じの…」
「しゅうきょ?よく分かりませんが、天使様が言うのならそうなのかもしれません!」
「うわぁ、様付けとかされた事ないから気持ち悪いんですけど…」
「…ですが天使様は尊い者なので様付けをしないと…」
「はぁ、変える気がないなら別にいいですよ」
「!ありがとうございます!天使様!」
「天使様はどうしてここに来たのですか?誰か捜しているのでしたら僕が一緒に捜します!」
「いえ、もう要件は済んだので帰るところでした。なので別に大丈夫ですよ。」
「そ、そうでしたか…。ここまで来て頂き有難うございます。」
「いえ、別に。大丈夫ですよ。」
「…あの、天使様。もし宜しかったらですが明日もここに来てください!僕、待ってます!」
「えっ?ま、まあ。予定が全てなくなったらいいですよ。」
「!!!ありがとうございます!待っております!」
「あっ、は、はい。」
ガチャッ
「…はぁ。んー!やったー!天使様に会えました!」
「神父様が言っていた通り、天使様はいたんですね!とっても素敵です!!」
「この事、神父様に言わないと!」
「馬鹿なこと言うのはやめなさい。恋樹。」
「…え。ど、どうしてですか?神父様。僕…本当に…!」
「恋樹っ!!」
「…っ!」
「天使様が私達の目の前に現れるわけないだろう。天使様は尊いお方だからな。」
「そんな冗談言うくらいなら勉学に励みなさい。御前は、神の子…だからな。」
「…分かりました。」
(…危ないな。恋樹が天使と会っているなら神のことが全て…バレてしまう。)
(まあ、嘘だと思うがな。)
ー次の日ー
「…」
「…あの、どうしましたか?」
「!天使様!」✨️✨️
「うわっ!く、くっつくのをやめなさい!全くどうしたんですか?」
「…それが。神父様に天使様の事を話したら怒られてしまって… 」
「だから落ち込んでいたんですか?」
「…はい。僕は神の子だからもっと勉強しなさいと、そう言われました。」
「…神の子?」ボソッ
「…ねぇ。天使様。僕は、普通の人の子とは違うんですか?」
「…そんなことありません。貴方は普通の子ですよ。」
「だって…ここに神様なんていませんから。」
「…え?ど、どういうことですか!?」
「ここに神様がいるなら僕はここに来てませんよ。僕は、いえ僕達は神様に会ってはいけないのです。」
「確かに僕達は神様の使いです。だからこそ神様に無許可で会ってはいけません。それどころか許可を得ても会うのは難しいです。」
「神様の身体は弱いですから。人間に近づいてる僕達が近づいたら駄目なんです。」
「…そ、それじゃあ僕の、神の子、は…?」
「…おそらく生贄にするための”嘘“ですかね。」
「そんな…。」
「きっと貴方を生贄にして本当の神様にするつもりですね。あの神父、昔から怪しいと思っていたのです。」
「…」
「…すみません。ショックでしたよね。」
「…はぁ、大丈夫ですよ天使様。それが運命なら、僕はそれを受け入れます。」
「未練なんて何処にもないですから…」
「…何言ってるんですか?それは僕が許せません。神様をこんなことに使うなんて…。」
「今ここで決まりました。貴方を、ここから救出しましょう。」
「…そんなこと、出来るんですか?」
「僕はこれでも天使ですよ?何も悪いことをしてない貴方を救う仕事があります。」
「そして、あの神父を不幸な目に合わせる義務もあります。」
「だって、僕は…ただの天使ではなく、”堕天使”ですからね」
「堕天使…?」
「はい。計画は今日です。今夜貴方の部屋に忍び込みます。なので黙って待っていてください。」
「…分かりました。天使様がそれを望むなら、僕はそれに従います。」
「…ありがとうございます」ニコッ
ー夜ー
「…天使様、遅いです…。 」
ダダダダダダ
「えっ!な、なんの音ですか!?」ビクッ
ガチャッ
「おいっ!恋樹!!」
「し、神父様?ど、どうしたんですか?」
「お前!!ここにいた皆はどこに行った!?」
「え?し、知りません…。というか、皆消えたんですか? 」
「ああ。何故だ!?くそっ!!お前といいアイツらといい、何故俺の計画と真反対のことをするのだっ!!!!」
「…計画って…」
「この子を贄に捧げる計画ですか?」
「!」
「なっ!誰だ!貴様!!」
「申し遅れました。僕の名前は…レオと申します。貴方が信じている、堕天使さんですよ」
「だ、堕天使ぃ!?」
「はい。貴方が信じてやまない神様の使いです。」
「な、何故天使が…!」ギロッ
「お前かっ!!恋樹っ!!!」
「っ、」ビクッ
「…大丈夫ですよ。 」
「ここの皆を脱走させたのは僕です。言ったでしょう?罪のない子は助ける、それが僕達の仕事です。」
「そして罪のある、神様の名前を勝手に使い、罪のない子を犠牲にしようとした…。」
「貴方は地獄におとす…。それが僕の、堕天使の仕事です!!」
「…っ!!恋樹っ!!」
「…触らないでください。」
「はぁ!?どうしてだ!?育てた恩を忘れたのかっ!?この堕天使はお前の父親のような俺を殺そうとしているのだぞっ!?!?!?」
「…神父様が教えてくださったんですよ?」
「天使様は神様の使いだから尊い者なのだ。忘れたとは言わせません。」
「っ!!くそっ!!!」
「早く掴まってください!」
「わかりました。 」
「それでは神父様。良かったですね。貴方は自分が信じた神様に会えるんですから。」
「い、嫌だあああ!!!!!!!」
ボオッ!!
スタッ
「おぉ!燃えてますね!」
「…凄い、綺麗ですね。」
「はぁ、ですがあの神父。まだ諦めてなさそうですね。」
「神父様は諦めが悪いですから。なんなら僕達に諦めることは悪いことと教え込んでいましたし。」
「それならまた貴方のところに来るかもしれませんね。」
「その時は…そのときです。」
「…そうだ!見つからないように色々変えてしまえばいいのです!」
「…色々?変える? 」
「はい!例えば名前!えっと…貴方の名前は…」
「恋樹です。こみき。」
「漢字は…こんな感じです。」
「なるほど…。それじゃあ恋樹から違う名前にしましょう。」
「違う名前に…ですか?」
「はい!えっと…例えば恋のところを使って違う名前にしたり!」
「…それなら恋という名前にします」
「えっ!それだったら漢字を変えて…”恋衣”これとかどうですか?」
「天使様が言うのでしたらそれでいいと思います。」
「…そうですか。あとその天使様って言うのもやめましょう。」
「2人っきりの時とかはいいですけど、バレますから。」
「そうですか?それならなんとお呼びすれば…」
「僕の名前は澪桜です。翠海澪桜。」
「それなら…澪桜様?」
「様付けは怪しまれるのでやめてください。呼び捨てでも君付けでもなんでもいいですよ。」
「…それでしたら、澪桜、君。」
「ふふっ、はい。それで大丈夫です。」
「そして敬語もやめましょう!喋り方を変えるのも大事です! 」
「そ、それは慣れないと難しいです…。」
「むぅ。分かりました。それなら生活していくうちに慣れていきましょう。」
「あの、それでも僕家がありません。なので…」
「あー、それなら大丈夫です。僕が一緒に暮らしている人のところに行きましょう。」
「…それって?」
「こちらです。ついてきてください。」
コンコンッ
「萌ー!いますかー?」
ガチャッ
「おかえり!れおきゅん!」
「て、あれ?その後ろの人は?」
「あっ、こ、こんにちは。え、えっと…」
「彼は僕の友人です。世間知らずなので色々と教えてやってください。」
「え?うん。わかった。」
「あっ!僕の名前は萌だよ!音譜萌!よろしくね!」
「え、えっと、僕の名前はこ、恋衣…です。」
「ほへー!よろしくね!こいにぃ!」
「こ、こいにぃ?」
「うん!お兄ちゃんっぽいからこいにぃ!」
「そ、そうですか?あ、ありがとうございます」ニコッ
「うっ!!イケメン!!!!」
「なに!?こんな友達いたの!?れおきゅん」
「紹介してくれたら良かったのに!!!」
「黙れ面食い。」
「ひどっ!!!」
「まあ何はともあれよろしくね!こいにぃ!」
「は、はい!よろしくお願いします!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
チュンチュンッ
「ん、んー…」
「…もう、朝…か。」
「なんか懐かしい夢を見ていた気がする…」
「…神父様、かぁ」
「あの人、まだ僕を捜しているのかな…」
「…怖い。」
ガチャッ
「おい、恋衣。起きろ。」
「あっ、澪桜君!おはよ!」
「はぁ、おはようございます。今日は起きるの早いですね。なんかあったんですか?」
「んー、なんか、昔の夢を見ていた気がする」
「昔?」
「うん、澪桜君が神父様から助けてくれた時の夢。 」
「あー、そんなことありましたね。そういえば」
「…まだ神父は貴方を捜しているのでしょうか?」
「…それだったら怖いね、やっぱり。」
「んー!!考えるのやめよ!ねっ!天使様!」
「はぁ、はいはい。そうですね。」
「早く下に降りないとご飯が冷めちゃいますよ。恋樹。」
「んふふっ、うん!」
これは、神の子と言われた少年の悲しい過去話
彼は本当に神の子だったのか…?
天使様は嘘だと言っていたが、果たして本当なのか…?
真実は本人達も誰にもわからない。
ただ1つ。神父はまだ、少年達を追っている。
それだけが分かる真実だ。