コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
明日、荷物がなくなれば、本当に1人ぼっちだ。
心の整理がつかないまま、また1人になる。
元々、1人が当たり前だったのに……
強引な朋也さん……
完全にいなくなってしまうんだな……
とにかく、お風呂に入って早く休もう。
もう、クタクタだ。
私は、考え事をしながらも、早々に眠りについた。
***
そして、夜中の1時くらいだろうか?
眠って1時間くらいした頃に突然携帯が鳴った。
その音に敏感に反応し、私は飛び起きてすぐに携帯を探した。
少し寝ぼけていて、探すのに5秒ほどかかった。
早く出なければいけない!
なぜか……そう思った。
画面には「朋也さん」の文字。
こんな時間に電話なんて……
思わず緊張が走る。
「は、はい」
『恭香……良かった。声、聞けて……』
え、何?
朋也さんの声が途切れ途切れですごく苦しそうに聞こえる。
いったいどうしたの?
何だかとても怖い――
「朋也さん、大丈夫!? 何があったの?」
無我夢中で叫んだ。
「……わから……ない。誰かに……急に……刺さ……れた」
そんな!!
「刺されたって、どうして? きゅ、救急車呼んだ?」
「ああ。大丈夫……だ……。あ、もしもし、代わりました。僕、今、ここを通りかかって。それで救急車を呼ばせてもらいました。ぐったりされてます。あ、救急車来ました」
誰かが通りかかってくれたんだ。
ぐったりしてるなんて、状況が見えなくて、すごく不安で怖い。
どうして?
誰かに刺されたって……
いったい誰に?
頭が混乱してパニックになっている。
私は、震える手で電話をスピーカーにし、通話状態にしたまますぐに着替えた。
「すみません。この電話繋がってますか?」
携帯の向こうから誰かの声がした。
「はい! 繋がってます!」
瞬時に携帯に近づき、答えた。
「御家族の方ですか?」
「いいえ……。あ、友人です」
友人、仕事仲間、同僚。
私は、朋也さんの家族でも彼女でもないんだ。
「いま、救急車の中で応急処置中です。病院に来れますか?」
「もちろん行きます! 朋也さんは大丈夫なんでしょうか?」
「今、意識はありません。とにかく落ち着いて病院の方によろしくお願いします」
一瞬、時が止まった。
そのあと、さらに手が震え、体まで震え出した。
朋也さんの顔が思い出される。
私は、ただ朋也さんに会いたくて、急いで家を出た。
こういう時は冷静にならないといけない。
駅まで行けばタクシーがある。
大丈夫、朋也さんは大丈夫。
死ぬわけない。
死ぬなんて、ありえないから。
朋也さんが死んじゃうなんて、絶対無い。
私は、一生懸命走った。
無我夢中で。
タクシーがすぐに捕まり、飛び乗って、私は病院の名前を運転手さんに伝えた。
「すみません。なるべく急いでください」
「わかりました」
道路が空いていたのが幸いした。
救急の入口から入り、警備員さんに聞くと、朋也さんは手術中だと教えてくれた。
手術室の前に着くと、看護師さんが来て、
「奥さんですか?」
と聞かれた。
「いえ、友人です。御家族に連絡したいのですが連絡先がわからなくて」
いろいろ方法があったかも知れないけれど、頭が回らなかった。