明日、荷物がなくなれば…
本当に1人ぼっちだな。
心の整理がつかないままだ。
とにかく…お風呂に入って早く休もう。
もう、クタクタだったから。
そして、私は、いろんなことを考えながら眠りについた。
それは夜中の1時くらいか…
眠って1時間くらいした時に携帯が鳴った。
私は、その音に敏感に反応し、飛び起きてすぐに携帯を探した。
少し寝ぼけてて、携帯を探すのに5秒ほどかかった。
早く出なきゃ…
なぜか、そう思った。
画面には『朋也さん』の文字。
こんな時間に電話?
『はい』
『…恭香…良かった…声聞けて…』
何?
朋也さん、声が途切れ途切れですごく苦しそう…
怖いよ。
『どうしたの?朋也さん、大丈夫?』
必死に聞いた。
『わから…ない。誰かに…急に…刺さ…れた』
そんな!!
どうして朋也さんが!
『刺されたって…どうして…きゅ、救急車呼んだ?』
『ああ…大丈夫…だ…』
『もう喋らないで。お願い…死なないで』
『もしもし。僕、ここを通りかかって、それで救急車を呼ばせてもらいました。いま、ぐったりされてます。あ、救急車来ました』
誰かが通りかかってくれたんだ。
良かった…
でも、ぐったりって?
朋也さん…大丈夫なの?
状況が見えなくて、すごく不安で怖いよ。
どうして?
誰かに刺されたって…
いったい誰に?
私は、電話をスピーカーフォンにし、通話状態にしたまますぐに着替えた。
『すみません。この電話繋がってますか?』
携帯の向こうから誰かの声がした。
『はい!繋がってます』
『御家族の方ですか?』
『…いいえ…あ、友人です』
友人…仕事仲間…
私は、朋也さんの家族でも彼女でもないんだ。
『いま、救急車で応急処置中です。病院に来れますか?』
『もちろん行きます!朋也さんは大丈夫なんでしょうか?』
『今、意識はありません。一刻を争います。落ち着いて病院の方によろしくお願いします』
一瞬、時が止まった。
そのあと、手が震えて…
体も震えてきた。
朋也さんの顔が思い出される。
私は、ただ朋也さんに会いたくて、取るものも取り敢えず急いで家を出た。
冷静にならないといけない。
駅まで行けばタクシーがある。
大丈夫、朋也さんは大丈夫。
死ぬわけないよ。
死ぬなんて、ありえない…
朋也さんが死んじゃうなんて、絶対無いよ。
一生懸命走った。
無我夢中で。
タクシーがすぐに捕まった。
飛び乗って、私は病院の名前を運転手さんに伝えた。
道路が空いていたのが幸いした。
救急の入口から入り、警備員さんに聞くと、朋也さんは手術中だと教えてくれた。
手術室の前に着くと、看護師さんが来て、
『奥さんですか?』
と聞かれた。
『いえ…友人です。御家族に連絡したいのですが連絡先がわからなくて』
いろいろ方法があったかも知れないけど、頭が回らなかった…
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