コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ふぁー」
俺はいつものようにあくびをしながら目を覚ました。
いや、この数日少し変わったことがある。
それは、、
「宮谷さーん、起きてください。」
猫耳と長いしっぽを持つ、可愛い緑髪の女の子が家に住んでいる事だ。
名前はそれに因んで「みどり」としている。
「今日は起こしに来てくれたんだ。」
「今日は月曜日ですよ、会社があるんですよね?」
「そうだった。ありがとう。」
「いえいえ」
少し嬉しそうに返事を返すみどりはいつ見ても可愛い。
リビングで朝食を終え会社に向かおうとする。
「じゃあ言ってくる」
「もう行っちゃうんですか?」
寂しそうにみどりが聞いてくる。
「もう会社に行かないといけない時間だからな」
「そうですか…じゃあついて行っていいですか?」
「いやいや…さすがn」
振り返ってそう言おうとすると、目の前にはつぶらな瞳でこちらを見ているみどりがいた。
流石にこんな顔をされたら断る訳には行かない、かと言って会社に着いてくるのも…
「じゃあ会社の入口までならいいよ。」
俺はそう言った。
「やったー!」
みどりは健気に喜んで外出の準備をした。
俺は外で待っていた。
雪は降っておらず少し肌寒い程度だった。
一応私服と薄水色のジャンバーを買っていた。
それを着て外に出てきた。
どこで覚えたの髪をヘアピンで止めてアレンジしていた。
「可愛いな…(ボソッ)」
「なんて言いました?」
「な、なんでもない」
心の音を漏らしながらもみどりを引き連れて駅に向かう。
俺は電車通勤だ。
「って言うかその猫耳どうにかならないか?しっぽは隠せるだろうけど」
「ん〜、無理ですね、髪も緑なのでコスプレとして通せないですかね」
「そうか、じゃあそれで行こう」
駅までたわいもない話をしながら向かった。
「まもなく1番線に電車が参ります。」
聞きなれたアナウンスとともにみどりとホームで待っていた。
こんな朝早くにホームにいる女の子はみどりくらいでそのうえ少し目立ちやすい。
そこら中にいるサラリーマンはみどりをちらちら見ている。
だが当の本人は始めてくる駅に少しワクワクしながら辺りを見渡していた。
風と共に電車が目の前を横切る。
徐々に遅くなり目の前で止まりドアが開いた。
中には通勤ラッシュのサラリーマンが缶詰のように入っていた。
「みどり、入るか?」
心配そうに聞いてみる。
「は、入ります…」
少し不安そうにしながらも電車の中に入った。
「宮谷さん、毎日これに乗ってるんですか…」
「そうだよ、大変でしょ?」
「はい…」
来たことを後悔してるかのように返事をした。
「とりあえず目的の駅まで15分くらいかかるからちょっとだけ我慢して」
みどりを見下ろしながらそう言いった。
「宮谷さん、手」
そう言いみどりは手を握ってきた。
身長が低く革紐に手が届かないのだろう。
俺はみどりの手を握り返した。
5分程してみどりが握る手を強くしてきた。
「ん?どうしたんだ?」
俺はみどりを見下ろした。
みどりは涙目になりながら
「助けてください…」
そう小声で呟いた。
「どうしたんだ!?」
少し慌てながらみどりに質問を投げる。
「後ろの人…」
今にも泣きそうな顔で答える。
「後ろの人?」
俺はみどりの後ろのサラリーマンを見た。
そのサラリーマンはいかにもな頭がテカテカしていたハゲた、40半ばのおじさんだった。
よく見るとみどりの方を見て興奮しているようだった。
そして少し膝を曲げているようだった。
「(もしかして…!)」
痴漢だった。
必死に目を凝らし下を凝視する。
みどりの太もも当たりを強く触っているようだった。
正直気持ち悪るい。
俺はみどりを引っ張り体全体で庇った。
そのサラリーマンは
「チッ」
とあからさまに舌打ちをした。
こういう場合は警察に突き出すのが正解なのだろうが俺はパニクっていた。
俺はそのまま次の駅で降りた。
「みどり、大丈夫か?」
「宮谷さん…」
みどりはその場で泣き出してしまった。
俺は咄嗟にみどりを体全体で覆った。
「大丈夫、大丈夫だから…」
根拠の無い励ましを投げかけさらに強く抱きしめた。
「宮谷さん…もう大丈夫です…」
まだ顔が赤いみどりがそう言う。
「ほんとか?ほんとに大丈夫か?」
「ここで泣いててもしょうがないので…」
みどりはそう言い涙を拭い立ち上がった。
俺達は歩いて家に帰った。
会社に電話して今日は休むことにしてもらった。
家に着きみどりは
「すみません宮谷さん」
「いや、いいんだ、それよりもほんとに第一にか?」
「まだ、ちょっとだけ…」
涙は落ち着いたものの猫耳がピクピク動いている。
「今日はあと暇だから、服でも買いに行こっか」
俺はそう提案した。
「いいんですか?」
前よりも喜びが薄れているが少しだけリフレッシュになったのか少し元気になった。
俺はみどりと改めて外に出た。