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近くの森では、白いナニカが宙に漂っていた。
「主様、あれは天使と言います」
そう言って、天使の説明をしてくれた。
天使は突然現れて人を消していく。
天使は悪魔執事の力を解放して殺せられる。
それを聞いてもう一度天使を見ると、何故か「殺せる」という信号が脳に回っていた。
『すまんベリアン!オレならいけるかもしれない!』
「主様!?」
敵の間合いに入って注意を引きつける。
…そうだ、この感覚覚えている。
『少し、痛いかもしれませんが…これしかないのです!』
天使の首に噛み付くと、苦しんで消えていった。
『なんだ、大したことないじゃない』
隣にいるベリアンは唖然とした表示で見つめている。
『どうしたんだ?ベリアン。もしかして…ダメ、だったのか?』
「い、いえ。少しびっくりしただけですよ」
よくできました、と言うように頭を撫でた。
『へへっ、ベリアンは優しいな。向こうにいたヤツらとは違う匂いがするぞ』
何故だろう、ベリアンのことがもっと知りたい。
『ベリアンの匂いを嗅いでると、安心する…もっと、もっと近くにいたい…』
「あ、主様…その、えっと…」
上を見ると、少しだけ顔を赤くしたベリアンがいた。
そして、こちらを見ると…自分の小さな胸をベリアンに押し付けていた。
『っあ、す、すみませんっ…わたくしとしたことが…』
「い、いえ…大丈夫ですよ。誰にだって間違いはありますから」
しゃがんで、もう一度抱きしめてくれる。
紅茶の香りに混じって、ほんのり甘い香りがした。
天使を殺して屋敷に帰ろうとしたその時、空から謎の箱が降ってきた。
『うわっ!な…なにこれ?』
小動物が入れるほどの箱だった。
カタカタと少しだけ動いている。
「主様、私の後ろにいてください」
そう言って私を守ってくれる。
恐る恐る箱を開けて中を見ると、すやすやと寝ている黒猫がいた。
『これって…猫だよな!うわぁ〜!本当にいたんだな!』
猫も食堂と同じく本でしか見たことがなかったのでこうして実物を触れるのは初めてだった。
触った感触はふわふわ。寝息をたてている。生きてることを実感した。
『なぁなぁベリアン!こいつ飼いたい!』
「しかし…猫は屋敷で飼えなくて…」
『じゃあみんなに聞けばいい!ロノとかバスティンに!』
頑張ってベリアンを説得し、猫を連れて屋敷に帰った。
屋敷に帰ると、猫を飼うかどうかの会議が行われた。
何故こんなことになったのかは見てもらえれば分かる。
「このササミおいしいです〜」
この猫、しゃべれていた。
「うーん、すごいね。しゃべれる猫ちゃんって」
そう話すのはルカス・トンプシーという人。
お医者さんらしい。
「どうするの?」
呆れた顔をしているのはフルーレ・ガレシアという人。
先程、自分の服を繕ってくれた。
「ぼ、ぼくを執事として雇ってください!」
ササミを食べ終えた猫がそう言った。
「猫が執事?そんなこと出来るわけねぇだろ」
創作ではありそうだが、現実にはまずありえないことにロノが鼻で笑う。
…だが、そんな不可能なことを可能にしたかった。
勇気を出して、口を開く。
『ですが…わたくしは飼いたいのです…ダメ、でしょうか?』
ある本に書いてあった。「男をイチコロにする方法は上目遣いをしながら最後にダメ?を言うこと!」と。
この場にいる人たちは全員男。
これで猫を屋敷に置いてくれるだろう、と思ったのである。
案の定、大体の執事がときめいていた。
「分かりました。全ての事の決定は主様ですからね」
「そうだねベリアン。私も賛同するよ」
「本当ですか!ありがとうございます!」
猫はとても喜んでいた。
こちらも嬉しさのあまり抱きしめると、首輪が目にとまった。
『首輪になんか書いてある。えっと…MUU…なんて言うのこれ』
隣にいたベリアンに問う。
「これはムーですよ」
むー…ムー。
とてもいい響きに聞こえた。
『そうかお前はムーって言うんだな!今日からよろしくなムー!』
「はい!よろしくお願いいたします!」
この日から、2人はとっても仲良しになった。
その日の夜、眠れなくて屋敷を歩いていると目の前に誰かが歩いている気がした。
本能で、壁に隠れて様子を見る。
ずっとその人をあとを追いかけていると、突然消えてしまった。
『…やっべ、どっかいきやがった』
周囲を見渡して確認した時、目を何かで覆われた。
「こんばんは、主様」
後ろを振り向くと、オッドアイの人が立っていた。
『お前は?』
「初めまして、私ナック・シュタインと申します」
丁寧な人だ。
そういえば、あっちにもオッドアイの子がいた気がする。
その子はもう…空に舞い散ったが。
『そうなのですね、貴方も…眠れないのですか?』
「いえ、私は見回りですよ」
そりゃそうか。こんな豪華な屋敷だから見回りの1人や2人くらいはいるだろう。
にしても…気配が分からなかった。
只者じゃないことを察知した。
「よければ…私がベッドまでエスコートしましょう。眠れないのなら、子守唄を歌ってあげましょう!」
承諾すると、ひょいっと抱き上げられた。
『んなっ!?ちょ、抱っこするなんて聞いてない!』
「ふふっ、すみません。主様がつい魅力的でして」
魅力的でもさすがに初対面でこんなことはしない。
…ここの執事はどれだけ、「主様」のことを大切に思っているんだろう。
ベッドに着き、ナックが子守唄を歌ってくれた。その優しい声に、まぶたを閉じそうになる。
『なっく…ねるまで、ずっといっしょにいて…』
母のような優しい仕草につい、甘えてしまった。
「ええ、いいですよ。このナック、主様が夢の世界に行けるまでずっとお傍にいますから」
寝付くまでずっと、片手は握って、もう片方は頭を撫でてくれた。
その日の夢は、ナックとラベンダーの花畑で遊んでいる夢だった。