テラーノベル
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声が震えているのが自分でもわかる。
鼻の奥がツンとなって視界が滲む。
「…高校に入ってからは一切関わりなくなってたんだけど……まさか会うと思わなくて」
思い出しただけで恐怖がこみ上げてくる。
あの眼差し、あの笑い声、あの威圧感。
今でも鮮烈に焼き付いて離れない。
「…っ、」
僕はとうとう両手で顔を覆ってしまう
羞恥と悔しさでいっぱいだった。
弱虫だと嗤われても仕方ない。
だからこそ今まで誰にも言えずにいたのだ。
「そっか……」
天馬くんの声は意外にも穏やかだった。
予想していたような嘲笑や叱責の色はない。
「水瀬」
思わず顔を上げると
彼は真剣な表情でこちらを見つめていた。
「嫌なこと思い出させてごめんな」
その言葉に胸がギュッと締め付けられる。
罵倒されると思っていたのに、かけられたのは労りの言葉だった。
「そんなこと、ないっ…いじめられて、なにもできなくて、こんな僕、情けないって思うでしょ…引く、でしょ」
「引くって……なんで?」
天馬くんが怪訝そうな顔で聞き返してくる
「だって…っ、絵ばっか描いて気持ち悪いし、目合わせれなくて相手のこと不快にさせちゃうし」
「……っ、すぐビクビクして、まともに喋ることもできないし……」
喉が詰まる。
でも、一度溢れた言葉は止まらなかった。
「嫌なことあっても、言い返せなくて…ただ黙ってるだけで……」
「……」
「絵、破られても…やめてって言うのが精一杯で……っ」
指先が震える。
「天馬くんみたいに、ちゃんと怒ったり……誰かを守ったりできる人と違って…僕、ずっと逃げてばっかだから……いじめられるようになってから不登校気味になって、親にも迷惑かけちゃったし…」
視界がぼやける。
「だから…虐められても仕方ないって、思われても……っ」
そこまで言いかけた瞬間だった。
「それは違うだろ」
低くて、でもはっきりした声。
顔を上げると、天馬くんが真っ直ぐ僕を見ていた。
「水瀬が悪いみたいに言うなよ」
「……っ」
「水瀬は好きなもん描いてただけだろ?」
天馬くんは少し眉を寄せる。
「人と喋るの苦手なのだって、別に罪じゃねぇし」
強い声だった。
でも怒っているのは僕に対してじゃない。
過去に自分を傷つけた“不良グループ”に対してだと分かって、胸が熱くなる。
「でも…っ、地味だから」
「まずさ、それがおかしいじゃん」
「え…?」
「水瀬が地味とか、人見知りとか、そんなの虐めていい理由になんねぇよ。むしろ悪いのは、人の好きなもの踏みにじった奴らだろ」
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#シリアス