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沢山の人からのつてにより部長が判明した。堀川聡(ほりかわさとし)という人物らしい。彼はいつも部室に籠もり、作業をしているという。私はその部室に案内してもらいそこのドアをコンコンと二回ほどノックした。
「は~い」
ガチャ。という音とともに中からは黒髪短髪、真っ白の白色の長袖シャツをひじまでまくっていた男が出てきた。
「誰かな?」
「あ…あの…えっと…」
こんなときに私の人見知りが発動してしまう。これじゃ相手を混乱させるだけ…。
「日高歌蓮さん…?」
「は…はい!」
驚いて変な声を出してしまった…。
「あ…!日高さんだったか古川さんから聞いてますよ〜まさかミス研に来るとは〜はは〜熱心ですね〜!」
「は…ははあ…」
特徴的な方だというのは先程、話していた内容だけでも分かった。
「どうぞ〜こっちへ」
そう案内されたのは部室だった。部室はそこまで広くはなくものはきれいに整頓されていた。
「今は〜部員いないけど後々来ると思うからさ〜」
「はい」
「女子部員って中々いなのよ〜今のところ一人。だから花帆ちゃん嬉しいと思うよ。あ~そういえば俺は堀川聡。潔癖症です」
「潔癖症…だから部屋がきれいなんですね」
「そうそう。みんな掃除しないからさ〜俺が一人でやってんのよ」
「大変そうですね…」
「まあね〜」
そういい堀川は私のロッカーを紹介した。
「ここに貴重品等置いといて。一応変なのは入れないでね。暗くなったら警備員さんが巡回して回るから」
「はい」
「まあ〜紹介はこんなもんよ。じゃあ自由にしてもらって」
堀川にそう言われた後私は地面に正座で座っていた。一方の堀川さんは部屋の左側にある本棚から分厚い本を持ってきて中央にある小さな丸テーブルの上で読んでいた。
私はなにをすればいいかわからない。堀川さんは集中しているようだし話しかけられない…どうすれば…。
そう思った時。出入り口のドアが開いた。そこには一人の女子がいた。
「あれ?新入り?」
焦げ茶色の髪色に真っ紅な唇。スタイルが良く身長も高い。
「そうそう。日高歌蓮さん」
「よろしくね歌蓮さん」
「は…はい」
「彼女は水上花帆(みずかみかほ)さん。三年生ね〜」
例の女子にかわり堀川さんが彼女の自己紹介をした。
「私、荷物置いたらすぐ出てくね。堀川」
「はいよ〜。ま〜た呼び出し?」
「生徒会長から。一応私、生徒会だからね?」
「まっ頑張って〜」
「はあ…んじゃ行くね。歌蓮さんもまた!」
「はい…」
風のように水上さんは去っていった。そしてまた部室は私と堀川さんになった。
「そういえば日高さん、入部届ってある?まだ〜入部してないからね」
「あ〜はい確かバックにあったと思います」
「おっけ〜じゃあそれに書いてもらって提出って感じ。多分、中学と同じだからさ〜」
「はい…わかりました…」
「うん。じゃあ俺、ここで待ってるから〜」
私は部室を出て校舎へ戻った。そこで入部届を提出したところでチャイムが鳴ってしまった。私は自分の教室へ戻り席へついた。目の前にはあの男子高校生がいた。
「歌蓮、どこにいました?俺探したんですよ?」
「……」
「歌蓮?」
私はなんと答えようか迷った。その末、決まった。もう言おう。
「私、あなたのこと知らないんだけどどこの誰?」
その質問に鳥島は困った様子で私の顔を見た。
「俺は…歌蓮の……」
「話しかけないで!!」
私はしつこく話しかける鳥島を突き放した。席から立ち上がり、走ってトイレへ逃げ込んだ。
トイレの個室で縮こまる私。なんと情けないのかそう思った。でも向こうだって勝手に話しかけるのはおかしい。そう思った。
トコトコトコ。
トイレの入口の方からそう足音がした。私は思わず個室の鍵を開け入口を見た。そこには水上さんがいた。
「あら。歌蓮さんどしたの?」
「えっと…」
私はその問いかけに答えることができなかった。
「まあ事情っていうものがあるからね」
私の気持ちを悟ったかのように水上さんはその話をやめた。
「そういえばなんで歌蓮さんはこのミス研へ?」
水上さんは話を変え、私に他の問いかけをした。
「え〜っと…まあ友人に紹介されて楽しそうっていうのもあったんですけど……」
「うん」
「少し調べてほしいなっていうものもあるんです」
「調べ物?」
「はい。私一人では調べらる範囲も限度があるので…」
「ほう。それでその調べ物は?」
「転校生の鳥島伊織のことを調べてほしいんです」
「鳥島くん?」
「はい。私に馴れ馴れしく接してくるんです。でもなぜか私、デジャヴを感じるんです」
「デジャヴ?だって赤の他人でしょ?」
「はい。それなのに…名前も聞き覚えはないですし……」
「わかった。じゃあ私から堀川に伝えとくから放課後、部室に来て」
「わかりました」
私はその後自分の教室へ戻り授業を受けた。でも言っていることは全くと言っていいほど頭の中に入ってこない。私のことに気遣ってなのか鳥島も話しかけてこない。チラチラ後ろは向くものの。
放課後となり学校の敷地を歩く者は少なくなった。ここの高校はどうやら昨年、廃校の危機に瀕したらしい。だがバスケ部の全国出場により入学希望者は例年を遥かに上回った。その御蔭で廃校の危機を免れたらしい。このことはクラスメートの高橋政伸(たかはしまさのぶ)君から聞いた。彼はうちのクラスのムードメーカーで他の人は知らないと思うが小学校からの付き合いだ。小さい頃はよく遊んだものだ。そんな思い出に浸っているといつの間にかミステリー研究部の部室前だった。私は部室の扉をコンコンと二回ほどノックし、中へと入った。
「やあやあ日高さんですよね。話は聞いてますよ」
堀川さんは部室の中央にある丸テーブルの近くにあぐらをかいて座っていた。そして笑顔で私の方を向きそう言った。どうやら椿さんからすでに先程相談した件は伝えられていたらしい。
「それでさっきまで調べてたんだけど…どうやら彼双子の兄がいたらしい。まだ名前は判明してないがね〜」
「そうですか…ありがとうございます」
「それでその兄は日高さんが通っていた小学校に行っていたらしいですよ〜」
「え?名前わからないのに通っていた学校はわかるんですか?」
「そうなんですよね〜摩訶不思議」
そう言い堀川さんは自分の目の前にあるノートパソコンで作業を始めた。きっと私の相談のことだろう。私は自分のロッカーの中に貴重品等を置き、木製の丸テーブルの周りに正座で座った。