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それはたった一発の銃声だった。
その銃声とともに隣りに立っていたはずの幼馴染が倒れた
俺は無意識にそう叫んでいた。
しょうがないことだ、とかこうなるかもしれない、とか考えてはいたけどいざ実際目の前で起こると人は
そう楽観的に考えられないものだ。
戦場とは常に死と隣り合わせ―
知ってはいたが目の前で友が死んだという事実に稲崎の頭は理解を拒んだ。
親友が亡くなってから3日後に戦争は終わった。
自分たちの軍はなんとか相手の軍に勝ったものの亡くなった人、かかった資金は重大だった
人によってはまだ18歳だというのに亡くなった兵もいれば42歳と家庭を支えられるであろう年齢で亡くなった人も居た。
そんなふうに考えると松野の人生は25歳で閉じたので意外に短かったのかもしれない―
2025年、東京のとある高校の教室―
「なあ、松下。今日バイトある?」
稲盛は前かがみになりながら前の席に座っている松下の肩を叩きながら気楽にそういった。
「今日はないかな」
軽めに返事した松下はスマホで誰かに連絡しながらそう答えた。
「松下、スマホを持ってくるとは何事だ!!!これは没収させてもらう」
担任の杉下先生の怒声が教室に響いたあと松下は持っていたスマホをスルッと奪われた。
「チッ、折角いい感じのバイト探してたところなのに」と舌打ちをし調べていた内容を暴露した松下に稲盛は呆れるしかなかった
これじゃあバイト探しも本末転倒である
いつもだったら「最近難聴でねぇ」と都合の悪いことをはぐらかす杉下先生もさすがに松下の舌打ちは聞こえたのか
「このクソガキ!!!バイトだったらハローワークにでもいけ!!!」と松下のことを一喝した。
周りの生徒は「また、あの杉先だよ」や「いい気になってら」と杉下に対して嫌味を叩いている。
杉下先生は周りの生徒を一睨みして黙らせてから授業もしていないのに教室から出ていった。
―放課後
「結局杉先って何がしたかったんだろうな」
ふてくされた顔で松下が稲盛に話を持ちかけた。
「知らね、あんな頭でっかち。考えてることが一世代古いんだよ」
稲盛は学校の近くにある自販機で買ったりんごジュースを飲みながらそう答えた。
「お前将来の夢ってある?」
急に松下が将来のことについて聞いてきたので稲盛は思わずりんごジュースを吹き出しそうになった
コイツ、将来のこととか考えてたんだ…
思わずそんな事を考えてしまったのは言うまでもなく、自身の将来の夢よりも松下の将来の夢がどんなものなのか気になっていた稲盛は「お前は?」と聞き返した。そこからかえってきた答えに俺は思わず耳を疑った
―「俺はギタリストになる」
いつもはあまり見せない真面目顔で松下は言っていた。
そもそもギターを弾けるのか?というところから聞きたかったのだ。そもそも俺と松下は小学生の頃から同い年だったがアイツが
ギターをやっているところなんか見たことも聞いたこともない…
放課後はいつも一緒にいたし習い事もいつも一緒だったから隠し事なんてしないのは知ってる。アイツの親がそんなことを習わすとは到底思えない(アイツの親は会社員で共働きだから音楽に縁があるわけでもなさそうだしな)。
俺は思った
コイツ計画性がないな、と