【shp side】
ふと目が覚める。
まぶたを開き、身体を起こす。
でも俺のご主人様…チーノ様はいない。
shp「チーノ…様、?」
チーノ様を探しに廊下へ出る。
この軍の長い廊下を歩いていく。
数秒歩いたら食堂に出るはず、なのだが何分歩いても食堂に着かない。
どこなんだ……。
いつまで経ったら抜けられるんだ、この歪な廊下は……。
歩いても歩いても食堂に着くことはない。
そして、不思議な事に誰もいない。
いつも賑やかな軍には誰もいなかった。
ロボロ様も、鬱様も、トントン様も……誰もいない。
どこにもいない。
それがとても不安で不安で仕方がない。
しかし、また数分歩いていくとある人を見つけた。
トントン様と一緒に俺を助けてくれた張本人…。
金髪に赤と黒のしましまの服…半袖半パンと言ったいかにも少年のような服装…。
shp「…コネシマ、様」
コネシマ様は俺の声を聴いてこちらを向く。
kn「ショッピくんか」
コネシマ様は俺の名前を呼んで俺の方へ近づいた。
kn「元気そうで良かった」
コネシマ様は笑顔で俺の頭を撫でる。
その顔はとても泣きそうで、悲しそうで、でもどこか安心できる笑顔で…。
shp「…コネシマ様はどうして、俺を助けてくださったのですか?」
コネシマ様は一瞬、目を見開いた。
kn「…俺も一緒やったから」
コネシマ様はぽつりぽつりと語った。
kn「俺も、家族から疎まれていたんや。奴隷同然の扱いされて。挙句の果てに捨てられたんや。」
「身寄りのない俺は変なじじいに連れ去られて、そこでも奴隷のような扱いを受けたんや。」
「まぁ…ショッピくんほどではないかもしれんけど。」
コネシマ様は俺を見る。
その目はどこか助けを求めている目だった。
kn「…ショッピくんは少しずつ感情に気づき始めてんな、良いと思うで」
「俺は…感情なんて今も分からないままおるから。」
shp「でも…俺は、まだ分からないんです。どれがありのままの自分なのか」
俺がそう言うとコネシマ様は俺の頭をなでながら言った。
kn「そんなん分からんくてええねん。そんなんでも愛してくれる人は絶対おる」
「今まで奴隷扱いされると同時に、期待され続けたんよな…苦しかったよな。もうええよ」
「そんな期待には目をつむれ。背を向けてええねん」
変な期待はもう背負うな。
誰でもいいから頼れ、愛が欲しかったら言えば皆くれる。
コネシマ様にそう言われたと同時に、俺の目の前は真っ白になった。
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