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『何色の薔薇で染めますか?』〜私の白い薔薇を染めるのは〜
アモン編 『貴方の棘も受け入れて』
『はぁ、はぁ…っ。』
俺は手紙を貰った瞬間無我夢中に走り出した。
(約束の場所…俺の判断が当たってるなら、主様はここに――!)
フワ…。
風が吹いて薔薇の花びらが辺りに散る。
そして、そこにいるのは――。
『アモン…。来てくれたんだね。』
『ここにいるってことは…約束の場所っていうのは…。』
『そう。この場所。ローズタウン。ここで結婚式を挙げるんだよね。それなら……プロポーズもこの場所がいい。』
『主様…。』
俺は主様に歩み寄り抱き締める。
ギュッ
『俺で、いいんすね……?』
『アモンが、いいの。好きだよ。アモン。』
『っ……!すげぇ嬉しいっす…。やっと、やっと俺だけの主様っす……。』
『ふふ、はい。アモン。これ。』
私は白い薔薇を渡す。
『白い薔薇……。しかも、3本…。』
『ふふっ。』
白い薔薇の3本の花言葉は
「愛してる」「告白」
『アモンにあげるに相応しいでしょ?』
『主様……。俺も、用意してるっすよ。』
俺は赤い薔薇を差し出す。
『嘘……っ。アモン、これ……っ。』
『365本。意味はもちろんわかるっすよね?大切に育てたんすよ。主様の為に。』
『っ……!』
アモンが私に差し出したのは、365本の赤い薔薇の花束。
『嬉しい……。』
私は喜びのあまり涙が出てしまう。
『主様…。』
俺は主様の涙を拭う。
『ん……。』
『キス…してもいいっすか?』
私は黙って瞳を閉じる。
唇に柔らかい感触がする。
『ん…っ。』
『これは俺の…初めてのキスっす。主様にあげるっすよ。俺の全部を……。』
『な、なんか改めて言われると恥ずかしいね…。』
私はふいっと目線をそらす。
『今そんなんだったらこれからどうするんすか。これから毎日俺にドキドキさせられるってのに。』
『お、お手柔らかにお願いします……。』
『どうっすかね…?』
チュッ。
『あ…っ。』
アモンは小悪魔のように笑いながらキスをした。
『ねぇ、主様?どうして俺を選んでくれたんすか?』
『…私も、受け入れたかったの。』
『受け入れたい…?』
『うん。私はアモンの過去についてまだちゃんと知らない。絶望した理由もちゃんと知らない。でも。その痛みも、棘も全て受け入れたいの。好きだから。私にもその茨を…棘を背負わせて欲しい。痛みを全て分け合いたいの。アモンだけに苦しんで欲しくないから。』
私はアモンを真っ直ぐ見つめる。
『その言葉だけで…っ。充分っすよ。主様。
これからもっと俺が幸せにするっす。必ずここで結婚式を挙げましょうっす。沢山の薔薇を用意するっすよ。』
『楽しみにしてるね。』
アモンと私は見つめ合いもう一度キスを交わす。薔薇の香りに酔ってしまう前に――。
『……主様は、僕じゃなかったんだ…。』
『…ラムリ君。』
『ルカス様…。』
ポンッ。
私はラムリ君の頭を撫でる。
『よく…頑張ったね。今は好きなだけ泣いていいよ。私しか見てない。』
『っ…はい…っ。ぐすっ。』
『アモン君を選びましたか…はぁ、残念です。』
『ラト…。』
『おや、フルーレ…慰めに来てくれたんですか?』
『慰めというか…ただ一言だけだよ。
ラト、今まで頑張ったよ。話なら聞いてあげるから。』
俺はラトの背中をさする。
『フルーレ…フフ。ありがとうございます。』
『…主様が幸せならそれで充分です。』
『…ユーハン。今日は俺の奢りだ。あんまん食べに行こうぜ。』
『っ、ほっといてください……。』
『はいはい……。』
俺はぽんぽんとユーハンの頭を撫でる。
『このまま離れたくないっすね…幸せすぎて。』
『今日くらい…いいよ。』
『え?』
『今は恋人同士なんだから。アモン、私の事攫ってくれるんでしょ?』
私はニヤッと笑う。
『!そうでしたっすね。』
俺は主様の手を引く。
『俺の気が済むまで一緒にいてもらうっすよ。主様。』
アモンに手を引かれるまま走り出す。
貴方の棘もいつかは薔薇の花びらに変わることを祈る。その傷も痛みも、いつかは無くなるように。
次回
ラムリ編 『ずっと笑顔にさせたいのは』