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コメント
5件
やばぁ!マジでいやしだぁ、、このゆるい感じがまたいい!!うちも口元が緩みそうになっている!
お互いに可愛いのはもう神でしかない(?) 幸せすぎるよぉ😭😭💕
「若井ー。」
「なーに?」
「なんでもないー。」
「なんだよー。」
ぼくはソファー深く腰を掛けて、若井が一生懸命ギターを掻き鳴らしているのを後ろから眺めていた。
別に、 やらなきゃいけない事がない訳ではないけど、今はね、ちょっと休暇。
鍛えてるせいか昔より少し大きくなった頼りある、大人な背中を眺める。
身体だけじゃなくて、最近特に心強くて、頼りになる存在。
あ。若井だけじゃなくて、もちろん涼ちゃんもね。
世の中では、ぼくが若井ばかりに絡んでて涼ちゃんが可哀想なんて言う人が居るけど、そりゃそうでしょ。
若井は恋人なんだし。
好きな人には、隙あれば絡みたくなるし、構って欲しくなるもんでしょ?
特にぼくはね、そう言うタイプなの。
「ちょっと、若井ー。」
「ごめんっ、間違えちった。」
うん、間違えてたね。
でも、別にそんな事を言いたい訳じゃなくて。
「…岩井。」
「…若井だよ!」
集中しているからか、少し遅れてツッコミがはいる。
絶対今、邪魔されたくないだろうに、ぼくの声を聞いてちゃんとツッコミまで入れてくれる若井は本当に優しい奴だと思う。
まあ、そんな優しさがあるからぼくみたいな面倒くさい人間と一緒に居れるんだろうけど。
うん、感謝しとこう…心の中で。
「わーかーいー。」
「…なにー?」
「べーつーにー。」
若井は、一体いつまでこの面倒くさい絡みに応え続けてくれるのか。
そして、何回目でぼくの“望み”が叶うのか試したくなったぼくは、その後も用も無いのに若井の名前を何度も呼び続ける。
別にね、ぼくだって何にも目的がなく若井を呼んでる訳じゃないんだよ?
まあ、その目的は仕様もない事ではあるのだけど。
最初から数えると、ちょうど 10回目。
ついに若井は少しだけ怒ったような顔で振り返った。
そして、10回目でようやくぼくの“望み”が叶い、少しムッとした若井の顔とは真逆でぼくは満足気な顔を見せた。
「もう、まじでなに?」
「べつに?」
「はぁー…。」
集中させてくれよ、と言いたそうな若井はその気持ちをため息に乗せて吐き出した。
そんな若井は横目に、満足したぼくは、そろそろ仕事をしようかと、ソファーから立ち上がり若井の横を通り過ぎようとした、その時だった。
若井にパッと手首を掴まれた。
「それは違う。」
「…?」
一瞬、何の事か分からなくて首を傾げる。
でも、若井の表情と台詞から何となく察しがついて、思わず口元が緩みそうになった。
多分、若井は、ぼくが若井の態度にへそを曲げて、涼ちゃんの所に行こうとしてるんだと思っているんだと思う。
そして、“それは違う”の意味は、鬱陶しくはあるけど、どっか行って欲しい訳じゃないと意味。
違うんだけどな。
ぼくはただ、“若井の顔が見たかった”だけ。
それが叶ったから、満足して、戻ろうとしただけなのに。
でも…
たまに見せる、この若井の独占欲が堪らなく愛おしい。
「わがままなんだからー。」
本当は嬉しいくせに、ぼくは少しダルそうにそう言ってやる。
そして引き返して、若井の背中の後ろに立つと、肩にそっと両手を置いた。
若井は何も言わずに、またギターを弾き始める。
さっきより、ちょっとだけ楽しそうな音。
その音色に、口元がふにゃっと緩む。
さっきは“大人”に見えた背中が、急に子供っぽく見えて、抱きしめたくなる。
でも――
一応、周りの目も考えて、ぐっと堪えて。
代わりに、耳元へ口を寄せて、囁いた…
「若井、大好き。」
-fin-