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〜ぼっちの月の神様の使徒〜

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〜ぼっちの月の神様の使徒〜

195 - 31話 お父さん聖。母兼末っ子聖奈としっかり者の長女ミラン。

2024年04月22日

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「見えたよ!!」

この精神年齢10ちゃいのおんにゃの子は聖奈さんだ。

「はい。中々の規模の町みたいで良かったです」

「そうだな。とりあえずミランの商人カードで入ろうか」

視線の先には沢山の煙が夕日に赤く染められた空に登っている。

塀が高くて中の様子は伺えないが、恐らくそこそこの規模の町なのだろう。

俺や聖奈さんの商人カードでは身バレしてしまうので、こういう時の為ではなかったがミランの商人カードで入ることが出来るのは、不必要だったのに作って良かったと思えた。

ミランの商人カードはどこの国でも使っていないから、身バレはしないだろう。

俺と聖奈さんはミランに雇われている使用人の様なモノとして町へと入ることになった。





「ほう。北西部から来たのか。若いのに凄いな」

町の入り口では北西部の国でお馴染みの検査があった。

「はい。若いうちにしか出来ないことがあるので、まだ見ぬ商材を求めて行商の真似事をしています」

「うむ。頑張ってくれ。二人もしっかり彼女を支えるんだぞ」

「「はい」」

どうやらこの兵士さんにはミランと同じ年頃の娘さんがいるようで、終始問題なく疑われることもなく町に入れた。


ただ…心配性なのか、話がなげぇ……


俺は良いけど聖奈さんが……




「はぁ…重たかったぁぁ!」

荷物を下ろしてベッドへダイブした聖奈さんは死に体だった。

俺達はミランの荷物(偽行商用の偽商材が詰まったバッグ)を担いでいた。

重さにして30キロはあったから、聖奈さんにはキツかっただろう。

「すみません…」

「ううん。ミランちゃんは悪くないよ。偽の荷物なのに重たいものばかりを選んで詰めたセイくんが全部悪いから」

「すみません…」

ここは素直に謝ろう。

服とか嵩張って軽いものにすれば良かったんだ。

なのに何故か酒ばかりを選んでしまった…これは酒飲みおれの業だな……

「とりあえずこの町はそこそこの規模だということがわかったね」

この町は兵士さん曰く人口4000人程の割と立派な町だった。

これだけの人が暮らしているということは、それだけ人や物が行き交うということ。

その時に色々な情報も行き交うからもしかしたら、俺たちが知りたいこともいくつか拾えるかもしれない。

「私は見ての通りだから宿の中で情報収集しておくね…悪いけど二人は酒場にでも行って情報を『はいっ!任せてください!』…食い気味だね。

抜け駆けはダメだよ?」

「いつも抜け駆けするのはセーナさんの方なのでご安心ください」

「ぐっ…じゃあ二人は外で夕食を済ませてきてね」

この会話には入ってはいけない。

いい加減俺も学んだぜ……

しかし、聖奈さんは未だにミランを揶揄っているのかよ…いい加減本気で怒られるぞ。

「わかった。宿とはいえ、聖奈も気をつけろよ」

「愛しの奥様が心配なのかな?大丈夫だよ。何かあってもセイくんが助けてくれるから」

僕の事をドラ◯もんか何かだと思っているのかな?

最後に頼るのは俺の専売特許なんだよな。

聖奈えもん。

「うーー。何故だかホントの夫婦みたいに見えます……」

ミランの戯言は聞き流し、俺達は宿を出て行った。






「あそこのお店を覗いても良いでしょうか?」

可愛いミランの言うことだ。もちろん二つ返事で了承するのだが……もう五軒目だぞ……

この町はそこそこな規模とはいえ、ミランが気になりそうな店はそこまで多くはないから、そろそろ最後かな?



「こ、これは?」

店を出たところでミランにスカーフを渡された。

「いつもお世話になっているセイさんに贈り物です」

「いや、お世話させているのは俺の方なんだが…」

「プレゼントもいつも貰ってばかりですから。…それとも、ご迷惑でしたでしょうか?」

「いやいやいやいや。嬉しいよ。どうだ?似合うか?」

天下の往来で俺はスカーフを首に巻いて一人ファッションショーをしてみせた。

恥ずかしいが、ミランが笑ってくれるなら安いものだぜ!

「ふふっ。そのスカーフは頭に巻く日除けのモノですよ」

そういう笑いだったのか……

確かにここは気温が高くて暑いところだからな……

良く見ればスカーフというかターバンっぽいな…周りの男性もちらほら付けているし。






すっかり日が沈んだ頃に、漸くお酒が飲める店へと辿り着いた。

ドアを開けて入ると蝋燭で照らされた店内が目に入るが、少しお洒落な感じの店だ。


画像



俺が1人で入るには少し敷居は高いが、ミランと一緒なので怖いものはない。

店内はそこそこ空いていたのでテーブル席も空いていたが、情報集めが目的なのに2人で楽しんでも仕方ない。

俺達はカップルと男二人組の間のカウンターへと腰を下ろした。



「じゃあ貴方も徴兵されるかもしれないの?」

「流石に大丈夫じゃないかな?僕は肉体派ではなく頭脳派だしね」

このカップルは徴兵の話をしている。

大事な情報なんだが…なんだか、この鼻につく話し方をする男が許せんのは俺だけか?

「お前の親父はまだ帰ってこないのか?」

「ああ。何でも鉄の加工が出来る人材が不足してるみたいでな。 親父が一人きりでどこかで頑張っている代わりに、老後の貯金が出来るってお袋は喜んでるよ」

これは…ロープウェイの技術者の話か?

その後も隣のメンツが変わっても情報収集を続けた。




俺達が宿に戻ると、聖奈さんは今日の疲れか日頃の疲れかわからないが、待ちきれなかったようですでに眠っていた。

ミランを聖奈さんの見張りついでに一緒に宿で休んでもらい、俺は遅くなったがライルを帝国へと送り届け、戻るとそのまま王都で眠りについた。

翌朝、目覚めた俺は薄暗い中を転移してライルを迎えに行き、その後聖奈さんたちが寝ている帝国内の宿屋へと転移した。



「わざとでしょ?」

俺は今正座させられている。

「わざとじゃないです。そんな恐ろしい事をするわけないじゃないですかっ!!」

「うん…その否定の仕方はなんか…失礼だよねっ!?」

俺が転移したタイミングは最こ…最悪のタイミングだったようだ。

なぜなら2人が下着姿を晒していたからだ。

俺が来てから着替えろよな……

この状況では口が裂けても言えないけど……

「ミランちゃんは何か言うことないの?」

「…責任を…」

「目を潰せばいいのか?」

偶然着替えを見ただけで結婚などしていたら、ラッキーすけべの主人公はバツ100とかになるから無理だぞ。

「…いえ。よくよく考えれば過剰に恥ずかしがることでもないですものね。結婚すれば・・・・・当たり前のことですし」

何か強調しているが…無視だ。

ミランのクマさんパンツは聖奈さんの趣味だろうが、聖奈さんの下着は付ける意味あんのか…?

ヒモだぞ?布ですらない。

「今思い出してるでしょ!?」

ギクッ!?

「ま、まさか?拙者その様な邪な気持ちは持ち合わせてござらんでござる?」

「ぶーー。怪しいなぁ…まぁ減るもんじゃないし、良っか。

それよりロープウェイに進展は?」

良いのかよ!ならこの茶番と正座はやめて良いよね!?

「変化なしと報告があったぞ」

しかし、俺に足を崩す勇気などなくそのまま答えた。

「うーん。もしかしたら昨日は動かさなかったのかもね。流石に何人も乗って移動すれば何処かで壊れると思うし。

まっ。そっちは向こうの動きも必要だし、ライルくんに任せよう」

確かに何もしなければ勝手に崩れることは少ないだろう。

そもそもそこまで腐食させると見た目で原因がバレるからな。

あくまでも、この方法で傾斜のキツイ山道を人を乗せて運ぶのは無理だと思わせないといけない。

ある程度腐食が進んで負荷が一気に掛かればポキンッと行くだろう。

俺達にはライルに監視してもらい、その時を待つことしか出来ない。

「じゃあみんなの情報を整理すると…」

その後は昨日仕入れた情報の交換と精査に入った。




朝食は宿の飯を食べたが…ここはそこまでだったな。

いや、普通なんだよ?でもアーメッド共王国や皇国、そして聖奈さんの飯に比べるとどうしてもな……

結論として、ここでの情報収集はやめて帝都を目指すことになった。

どちらにしても転移ポイントとしても必要な場所だし、動きがわかりやすいからな。

じゃあ早くいけよって?

聖奈さん達が旅がしたいって……そう。これは休みの日に家族サービスするお父さんみたいなモノなのだよ。

子供いないから知らんが。

偽の嫁はいるけど。


「しゅっぱーつっ!!」


だから…以下略。

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