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#ラブコメ
こげ丸
梨本和広
「That’s夏祭り!」
夏休みから数日後、夏の楽しみのひとつ、夏祭りである。
北東北は7月下旬からお盆過ぎまでの少なめの期間だ。
7月終わりに開催される祭り。
どこの地域でもそうだろうが、お祭りは絶対盛況である。
そうだよね?
な?
な?
一応混雑を予想して第2形態、おんぶである。
車椅子だと周りに迷惑だろうしね。
「何食う?」
「んー、初詣にたこ焼き食べたし、今回はお好み焼きを所望する」
「仰せのままに」
お好み焼き屋に直行。
「すいませーん、お好み焼き2つください」
そこそこ列の出来ていた屋台に並ぶこと数分。
俺たちも購入権限を得た。
「あいよっ!兄ちゃんのツレは彼女か?」
「はい。訳あって歩行に難アリで普段は車椅子なんですが、混雑してる場合は基本的に俺がおぶってますね」
「そうかい!楽しみな!1個サービスしといてやるよ!彼女と半分ずつで食べな!」
「「ありがとうございます!」」
俺たちは揃って礼を言い、備え付けられたベンチに腰掛けた。
「たこ焼きとは違うけど、一応冷ましながらちょっとずつ口に運ぶんだぞ」
「初詣で学んだからね。フーフー」
過去の学びを糧に、一気にがっつかず少しずつ口へ運ぶ。
「美味しーい!」
「たこ焼きと違って肉とか野菜とかが入ってる分、同じ小麦粉料理とは食感が変わりますな!」
「だろ!」
「よっしゃ次は焼きそばだー!」
「おーおー!食おうぜ!」
俺と紫音はそれぞれの母からお小遣いを多めに貰っていた。
ちなみに2人は宅飲みだ。
大勢のところだと落ち着かないし、子供がいない環境で、親同士で話したいそうだ。
「おっと守よ」
「ん?」
紫音は俺を静止し、自分の指を俺の唇の端をなぞった。
指にはソースが。
「ほっ!」
迷わず口に咥えた。
「ちょっ、紫音さん!?」
「ん?」
「ん?じゃない!人前でそんなはしたない真似……」
「僕はただ彼氏の顔の汚れを拭っただけだよ?」
慌てる俺を他所に我知らず顔。
「いいじゃん、キスだってまだなんだよ?」
ズキュゥゥゥゥゥゥン!!!
心臓が高鳴るなんてレベルでは無い。
バクバクと胸の鼓動が脈打つ。
そんな上目遣いで見つめられたら、俺のライフが持たん!
「そういうのは2人っきりの時に!」
「2人っきりなら何してもいいんだぁ?」
ニヤニヤ。
くっ……!こいつ……!
「さて、次行こつg」
「!?」
俺は紫音の頬にキスした。
急なことで反応がない彼女。
しばらくするとピー!とヤカンが沸騰を知らせる音のような擬音が聞こえた気がした。
そして。
ボンッ。
赤くなって動作にエラーが起きたようだ。
「やられた仕返しだ」
俺はドヤ顔で思考、動作にエラーが出た紫音にそう告げる。
反応がない。
やりすぎたか?
心配する矢先、今度は紫音が俺の頭を両手で掴み自身の顔に近づけ、お互いの唇に接触した。
「~~〜~~~〜~~!」
離そうにも、彼女の腕の力は強く放せない。
「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
そのまんま舌を絡まれた。
「ぷはっ」
時間にして1分ほどだろうか?
紫音が解放してくれた。
俺は力を吸い取られた。
その証拠に紫音は勝ち誇っていた。
「けっけっけ、やられたからやり返してやったさ!」
勝利の宣言をした。
「まいりました……ゴメンナサイ……」
「よし!これで僕>守の序列を築けた!」
それから10分ほど、俺は再起を起こすのに時間がかかった。
ズルズル
「ソースの味が絶品ですなぁ」
「そうだなぁ」
俺たちは焼きそばを堪能していた。
程なくして完食し、備え付けのゴミ箱へ器をシュート。
「次あれね」
「おk」
子ども向けのくじ引き。
今更俺たちが引く年齢でもないが、紫音にとっては初めて。
引きたいらしい。
子供たちがこぞって最新ゲーム機を狙って親にねだり、小銭を片手にダッシュ。
みんな、あえなく撃沈していた。
「こういうのって大抵当たりが入ってないって聞くけど、その辺どうなの?」
「これは作者の話だがな」
「うん」
「G〇Aが欲しくて親にねだって何度も引いたが出なかったらしい」
「ふむふむ」
「ところがどっこい、その後に引いた子がしっかりG〇Aを当てて泣いてたぞ」
「なんてむごい……!」
「まぁ、でも当たりはあるんだね?」
「多分な」
「じゃあ一回ずつ引こうよ」
「俺もか?」
「そ、ゴムでできたヨーヨーみたいなハズレでも良いからさ。僕が生きた証として持っていてよ」
そういえばそうだ。
『希導家の伴侶は必ず死ぬ』
母の言葉を思い出す。
「そっか、そう……だよな……」
「あんまりしんみりしないでよ。軽い気持ちで引こうぜ」
「おう」
そうしてくじを引く。
なんと子どもたちが狙っていた最新ゲーム機を俺が当ててしまった。
あーあ……。と諦めて蜘蛛の子を散らすように退散する子どもたち。
「チャンスゲィーム!」
紫音が高らかに宣言した。
「僕とじゃんけんで勝った人。大勢いるからあいこも負け判定ね。最後まで残った人にこのゲーム譲ります!」
お?
と周りの大きいお友達もよってくる。
「なお、このゲームの参加権はこのくじで泣いちゃった子達のみ。野郎共は散った散った!」
大きいお友達をしっしと払い除ける。
「おんぶされてるお姉ちゃんにかったらくれるの?」
「おうとも!」
「やるー!」
「僕もー!」
「わたしもー!」
ちっちゃい子が寄ってくる。
「それじゃあ、行くぞー!」
じゃんけん大会スタート。
「まけちゃった……」
「あいこだ……」
「勝った……!」
どんどんと振り落とされていく子どもたち。
残りは3人。
「よし!残ったみんなで最終戦だ!泣いても笑っても、これで最後!じゃーんけん、ポイ!」
グー
グー
パー
ゲーム機をもぎ取ったのは、小学生に上がり立て(推定)の女の子だった。
「ほい、景品」
俺は躊躇なくその子にゲーム機を譲る。
「ほんとうににいいの……?」
不安げに聞いてくる。
「ルールだからな」
「わたしいらない」
「「え?」」
「だって2人の大事なもの貰えないもん」
「いや、俺たちは自力で何とか手に入れられるし……」
「ううん、ちがう。おんぶされてるお姉ちゃん、あと数年の命でしょ?お姉ちゃんの生きた証をわたしは受け取れない」
「君何言って……」
「わたしはね」
「「うん」」
「わたしは死神。人があとどのくらい生きられるかわかるの」
憂いのある表情で、俺たちに女の子は自身が死神と告げた。
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