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プロローグ(志音 しおん)
夏の色
夏の空は、いつも嘘みたいに青い。
この空を見てるとき、私は“色”を感じない。 青いと言われるその空も、私の目にはただの灰色に見える。 世界はずっと、モノクロだ。
だけど、その世界に、ある日“音”が差し込んだ。
あの人の声だった。
最初に聞いたとき、その声には、何の色もついていなかった。 でも、それが逆に強烈だった。
まるで、水の中で響く音のように澄んでいて、どこか懐かしかった。
そのときから、私の夏は少しずつ変わり始めた。