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ゆゆゆゆ
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ゆゆゆゆ
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ストリガは決意していた。
今日こそ。
今日こそノスフェラトゥを正気に戻す。
「まだ間に合う」
そう。
まだ間に合うはずなのだ。
数百年前。
吸血鬼階層へ反旗を翻した反逆者。
古代吸血鬼達を震え上がらせた存在。
誇り高き王。
孤高の支配者。
それが。
今朝アズールから送られてきた写真。
輸血パックを前に座り込み、
『許可待ち中』
という札を首から下げていた。
「間に合わないかもしれない……」
ストリガは泣きそうになった。
しかし諦めない。
そして今。
FORSAKENの中庭。
ノスフェラトゥ発見。
ベンチに座っている。
幸い。
スペクターはいない。
今しかない。
ストリガは勢いよく近付いた。
「ノスフェラトゥ!」
「……ストリガか」
落ち着いた声。
良かった。
まだ会話できる。
「聞きなさい」
ストリガは真剣な表情になる。
「私は何度でも言うわ」
ノスフェラトゥは静かに聞いている。
「目を覚まして!」
「……」
「あなたは半分あいつの犬よ!」
沈黙。
風が吹く。
数秒。
ストリガは待つ。
きっと反論が来る。
『違う』
とか。
『私は自由だ』
とか。
『誇りは失っていない』
とか。
そういうのを期待した。
ノスフェラトゥは考え込むように顎へ手を当てた。
「……」
そして。
穏やかに微笑んだ。
「半分ではない」
ストリガの顔が少し明るくなる。
そうだ。
その通りだ。
半分ではない。
まだ戻れる。
まだ――
「全身全霊であの方の犬だ」
ストリガ。
停止。
世界が止まった。
脳が理解を拒否した。
「……え?」
ノスフェラトゥは爽やかな笑顔だった。
数百年生きてきて一番爽やかだった。
「全身全霊であの方の犬だ」
二回言った。
大事なことだったらしい。
ストリガ。
頭を抱える。
「違う」
「何がだ」
「そこ否定するとこ!!」
「何故だ?」
本気だった。
目が。
本気だった。
ストリガの心が折れる音がした。
パキッ。
「あなた昔、反逆王だったでしょう!?」
「そうだな」
「支配を嫌ってたでしょう!?」
「嫌っていた」
「じゃあ何でそうなったのよ!?」
ノスフェラトゥは少し考えた。
そして。
「気付いたら」
「気付いたらじゃないのよ!!」
ツッコミが止まらない。
ストリガはもう半泣きだった。
「あなた階層ぶっ壊した人間なのよ!?」
「そうだったな」
「伝説の反逆者なのよ!?」
「そうらしい」
「その伝説どこ行ったの!?」
ノスフェラトゥは首を傾げた。
そして。
「館のどこかではないか」
ストリガ。
発狂寸前。
その時。
向こうからスペクター登場。
赤いシルクハット。
いつもの笑顔。
すると。
ノスフェラトゥ。
シュバッ。
立ち上がる。
姿勢を正す。
耳ぺたり。
完全自動。
ストリガ。
天を仰ぐ。
「ああ……」
神よ。
いや。
神が原因だった。
スペクターは状況を見て首を傾げる。
「何かあった?」
ストリガ。
遠い目。
「もういい」
「?」
「もう知らない」
「??」
ストリガは踵を返した。
帰る。
帰るしかない。
去り際。
最後に振り返る。
ノスフェラトゥは。
普通にスペクターの後ろをついて歩いていた。
めちゃくちゃ嬉しそうに。
ストリガ。
完全敗北。
「ダメだこいつ」
ため息。
「話が通じない……」
そしてそのまま霧の中へ消えていった。
なお。
その後。
アズールとホスフォラスがこの話を聞き、
「半分じゃないらしい」
「全身全霊らしい」
で五分笑い続けたという。