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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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目的地に到着した。展示場にあるハウスメーカーは全部で六つ。数に反して駐車場はあまり広くなかった。朝早く来ないと駐車場がいっぱいになりそうな予感。

今日はまだ到着時間が早かったためか、駐車スペースにはまだ2台ほど停められる余裕があった。しかし停めている間に埋まってしまった。今日はラッキーだ。


展示場の受付テントへ行って会場の案内図をもらった。ここをくまなく回ってスタンプを集めると、数に応じてプレゼントがあるみたい。ついでにスタンプラリーをやろう。


先ずはCMでお馴染みの業界最大手『清水ハウス』へ行った。


このハウスメーカーは外観からして高級そうだ。恐らく坪単価はとても高額なのだろう。ダークグレー色の上品な佇まいのモデルハウスが目の前に聳(そび)えている。洒落ていて、単純にこの様な高級住宅に住みたいと思う。


「いらっしゃいませ」


ハウス中に入った途端、営業マンが飛んできた。四十歳後半位の、頭皮が禿げかかった男性だ。細身で、雰囲気からして主任クラスの人物だろう。茶色のビジネススーツが似合っている。

しかしスーツ好きの私の萌えポイントは、残念ながらこの男性には備わっていなかった。一切キュンとせずに終わってしまった。


というのも私が望むものは、鬼畜メガネスーツ。


キュン要素皆無の茶色スーツおじさんに、清水ハウスの拘り箇所を丁寧に説明された。耐震に強化した頑丈な造りの建物であり、他にも素晴らしいと賞賛される建築資材を利用したマイホームを提案された。

先ずはこちらが建てたいような家のイメージを伝えると、概算で五千万円を軽く超えそうな金額になってしまった。聞くだけで目が回る。


予算オーバー。ここに決める事は無い。ごめん。

最後にスタンプラリーの台紙にスタンプを押して次の展示場へ移動した。


次のハウスメーカーは二世帯住宅の建設に特化しているらしく、一階と二階に玄関がひとつずつあった。なるほど。こうやってプライベートを仕切るのか。残念ながら二世帯にする予定はないから、このハウスメーカーはパスした。一応見学したのでスタンプはもらった。


更に次のメーカーへ行く。子供向けの住宅らしく、隠れ家的な収納を作れるようで楽しそうだけれども、思っていたのと少し違った。

坪単価は四十万円と比較的ほかのメーカーよりも安いのは魅力。

私等を迎えてくれた担当は、かなり年配の人の好さそうなおじさんだった。できれば担当は手練れの人よりも、センスある若い人がいいかと思った。話も年代がが近い担当の方が、あれこれ相談しやすそうというイメージだ。

検討すると伝え、スタンプを押して担当のおじさんに礼を言って外へ出た。立て続けに三軒も回ったから、気がついたらもう昼前になっている。


「昼飯どうする?」


数少ない駐車場は満車で動きなし。昼食に出てしまうと確実に駐車スペースはなくなるだろう。かといって近隣徒歩圏内には、満足に食事ができそうな場所はなかった。この付近はオフィス街だから仕方ない。

神戸駅やハーバーランド方面に行けば色々とある。車で行けばすぐの距離も歩けば遠い。戻って来るのが不可能だ。現在の時刻を確認すると、午前十一時半となっていた。


「うーん……移動したら駐車場が無くなりそうだから、次の展示場だけ寄ってお昼ご飯にしよう」


あと一件見学しようと提案したら、そうしよう、と光貴も承諾してくれた。

実は気になっているメーカーがあったので、寄りたかったのだ。


会場に入った時から結構いいなと思っていた『大栄建設』というハウスメーカーは、どっしり煉瓦造りのモデルハウスを構えていた。高そうだけど煉瓦造りがカッコイイ。

このハウスメーカーの名前は聞いたことなかったけど、大栄建設というくらいだから、きっと建物や材料には拘って造っていそうだ。家は可愛いよりカッコイイ方がいいと思って、ここに行きたいと光貴に提案した。


「煉瓦っていいな。よし、最後はそこへ行こう」


光貴も賛成してくれたので、彼と一緒に煉瓦造りの大栄建設に入った。

中に入ると、玄関に沢山の靴が並んでいた。玄関の靴脱ぎ場から一段上がって中央にスリッパが並べてあるが、靴に対しての残数が少ない。来客が多い証拠だろう。他のハウスメーカーよりも賑わっている感じがした。人気がありそうな予感!


すぐに私達に気が付いた営業マンの男性が、いらっしゃいませ、とお辞儀をしてくれた。

やって来たのは、長身・イケメン・スーツバッチリ着こなした青年営業マン。うわぁ、テンション上がる~!


彼は、三十代半ばくらいに見えた。サラサラの黒く耳の隠れるくらいの短めのストレートヘアに、細いメタリックシルバーのフレーム眼鏡がよく似合っていた。

スーツの胸ポケットの所に、新藤という名札プレートが付いていた。新藤――シンドウ――と読むのかな?

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