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エピローグ
僕の三十五歳の誕生日。
体は相変わらず、十五歳のまま。
ニコラさんから聞くけど、アニカも十五歳のまま変わらないって話を最近初めて聞いた。
二十歳くらいサバ読むのはどうかと思うけど、年齢は堂々と言っている。
アドルフも、すくすくと育っている。ティモさんはよく家に遊びに来てくれるし、色々と本当の事も言った。アドルフが僕の名前も覚えてくれている。
フリオも順調みたいで、今は娘が可愛くてしょうが無いと言っていた。
僕は、独身。
……逃げててごめんね。
アニカとは会っていない。というか、避けてる。
アニカのいない時間帯を狙って、ニコラさんの所に行ってるし、町にだって違う方向へ向かう。
そういえば、ニコラさんはあの城の管理者になったらしい。
遠くに離れていても、やっている事はバレバレ。
剣は、持ってるけど、殆ど触れてない。
魔物狩りとか、偶に騎士団に混ざったり……暇を持て余した人だからね。
決闘は受けないけど、手合わせとかはやる。
僕は旅に出ようと思う。
これから知らない物を探しに行って、知ってる物を伝えて行って、ホルムの景色をみたい。これまで旅という旅はした事が無い。
行ったとしても、ホルムを一週間で周る、馬鹿みたいな旅だ。
ゆっくり、気長に、ホルムが一体どんな景色を持っていて、どんな歴史を積み重ねて、綺麗な所も、残酷な所も、可憐な所も、汚れた所も、じっくり見る旅にしたい。
僕はそう思いながら、ポーチに耳飾りをしまっていつもの道具を入れて、魔法石のストラップを着けた。
それで、いつもとはまた別の道へ、自分の足で歩き始めた。
✡
サンコウの木が満開になった。今日がロルフの誕生日だろう。
私は肉体年齢が十四歳のまま止まっている。
ニコラさんからも、ロルフが十五歳のままって事は聞いている。
私は、ロルフの住んでいる所からは少し離れている町の一つ屋根の下に一人住んでいる。
近所の人たちは皆優しくて、いつも助けてもらっている。
近所の人たちは最初の内は戸惑っていたけど、次第に気軽な会話になっていけた。
私は花壇に撒いた種に水をやって、家事をすまして、昔に調べていた事の続きをした。
私は、その次の日にサンコウの木へ向かった。
ロルフはもうそこにはないけれど、木陰には確かに、生きた証と、交わしきれなかった想いが陽だまりのように残っている。
辛かった事も、幸せだった事も、過ごしたあの場所に立った。
「お願い。貴方とまた、笑い合いたい」と一通の涙を零した。
コメント
1件
いやあ、最終話……ってことでいいのかな? 第79話、エピローグ、読了したわ。 二人とも歳を取らない体のままで、なおかつお互いを避け続けてるのが切ない。ロルフが旅に出る決意をしたのも、アニカがサンコウの木の下で涙を零したのも、どちらも相手を想ってのことなんだろうな。変わらない時間の中で、変わっていく関係性の描写がじんわり沁みたわ。 いい終わり方だった。お疲れさま、こはるさん。
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