コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
やったぜーーー!!
あ、でも、弥生は交通事故という形で、人を確実に殺害しているんだった?!
う?!
うーん……。
うん!
非合法組織の幹部だけど、やっぱり罪は罪だよなあ……。
仕方ないよなあ……。
あ、そうだ!!
でも、俺は弥生を絶対助けるって決めたんだ!!
そうとわかれば早速、弥生を探して合流するぞう!
でも、どうやって地獄から弥生を助けるんだ?
いや、助けられるんだ?
うん。地獄からの脱出法に解脱や転生があったっけ?
あ、そうか。
方法はまだあるっていうことか?!
諦めたらそこで方法がもったいないや。
「火端さん? あの。真面目に考え事をしている時になんですが、あそこに、弥生さんがいましたよ。ほら、あそこの坂道のところです」
「うん? ああ。そりゃ良かったぜ」
弥生は殺風景な坂道のちょうど真ん中にいた。
大勢の朧気な姿の死者と一緒だから、今まで気がつかなかったのだろうか?
いや、待て。
閻魔大王と弥生は何やら話をしていた。けれども、さすがにここからじゃ、何も聞けないや。
「あ! 弥生さんが門をくぐりましたね」
音星の言う通りに、弥生は閻魔大王との話を終えると門を通って行った。
…………
閻魔大王がこちらへと来てくれて、弥生とのさっきの話を親切に伝えてくれた。とても忙しい身だと言うのに、俺は閻魔大王に頭が上がらなくなった。
「妹の火端 弥生はその罪悪感から、やはり地獄にいるといいだしたぞ。兄のお前はどうするんだ?」
「え?! 弥生が?!」
「えーっと、火端さん。どうしますか? 私はここまで死者たちを弔うための旅の途中で、その一環でもあるので、一緒にいますが、大事な妹さんのことは決めるのは火端さんですよ」
そうだよな。
音星はただの旅の道連れなんだ。
今まで一緒に旅をしていただけなんだ。
うーん?
罪悪感か……。
このまま地獄へいるのか? それとも地獄から脱出するのか?
弥生……歩いて行く道を、お前はどちらにしようとしているんだ?
そこで、俺のお腹がグウ―と鳴った。
音星はクスリと笑うと、またあの坂道の角を指さして肩にぶら下げた布袋を降ろした。
「火端さん。もうそろそろ休憩にしませんか? お食事にしましょう。弥生さんは空腹になりませんが、肉体のある私たちは違うので」
「お、おう」
「むう、そうか。それは不便だな。だが、都合もいい。ゆっくりと妹の事を考えることだ。私は仕事がまだあるから行くが、お前の妹はここから大叫喚地獄へ戻ったぞ」
「はい! 色々とありがとうございました!」
「はい! とても助かりました! ありがとうございます!」
俺と音星は閻魔大王と別れると、坂道の角へと歩いて行った。
殺風景な角へ戻ると、立っている木が少し風で凪いだ気がした。
木の根もそこかしこにあるので、ちょうど二つの座れる根に腰掛け、俺はクーラーバッグからおじさんが作ってくれた……特大塩おにぎりを取り出した。音星はいつもの梅干し入りおにぎりだ。
それにしても、妹よ……お前は……俺が……。
あ! そうだ! 答えはもう決まっているんだった。
休憩が終わったら、大叫喚地獄へ妹を探しに行こう。
弥生は必ず地獄から救いだす。
兄のわがままだ。
罪悪感もわかるが、その辺は本当に許してほしいな。