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博麗神社の朝。
霊夢は境内を掃いていたが、心はまったく落ち着いていなかった。
__魔理沙、昨日も来なかったわね。
異変の予兆があるという噂は聞いている。
なのに魔理沙は調査に出たまま帰らず、言伝もない。
胸の奥がじりじりする。
これは心配なのか、怒りなのか、自分でも判断がつかなかった。
「霊夢ー!いるかー?」
境内に飛び込んできたのは、白黒の魔法使い。
帽子は少し焦げていて、服も砂埃まみれ。
「はぁ…遅いのよ、あんた。」
霊夢は素っ気なく言い放つ
「わ、悪い!ちょっとだけ異変の匂いがしてな…。先に調べてただけだぜ」
「あんた一人で突っ走るからでしょ。」
魔理沙は気まずそうに頬をかく。
「霊夢も誘おうと思ったけど…なんか、忙しそうで…」
「言い訳しないで」
そう言いつつ、霊夢は魔理沙の手に擦り傷があるのに気づく。
「その怪我…異変に巻き込まれた?」
「こんなの、大したことないぜ。でも妖精共が妙に暴れててな」
すれ違いの空気は濃い。
魔理沙は霊夢に言いたいことがありそうなのに言えず、
霊夢も魔理沙を責めているわけじゃないのに素直になれない。
そんな二人をよそに、空気がびりっと震えた。
「きゃ!?」
境内を霧のような光が包み、空に星の残光が散る。
「…異変ね。」
「だな、霊夢行くぞ」
魔理沙は手を伸ばした。
しかし霊夢は少し迷い、結局その手を取らない。
「自分で飛べるわよ。」
「…そうか」
二人はすれ違った距離を残したまま空へ飛び立った。
向かう先は__幻想郷の空で暴れる謎の星霧。
その奥に、異変の犯人らしき姿がかすかに見えた。