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どうもtttです
いいねありがとうございました
4人それぞれの視点です。
第6話(焦凍視点)
――静かすぎる夜だった。
寮の部屋。
灯りを落としても、眠気は来ない。
ベッドに腰掛けたまま、
俺は自分の手を見つめていた。
(……震えている)
いずくの肩に触れた手。
拒まれなかったことに、安堵してしまった自分。
その事実が、胸を刺す。
(俺は、何をしている)
双子だ。
同じ日に生まれ、同じ家で育ち、
同じ夢を見てきた。
守る側でいると、決めていた。
なのに。
廊下で、怯えた声で「怖い」と言わせた原因の一人が、
――俺だ。
(兄として、失格だ)
それなのに。
(それでも)
頭に浮かぶのは、
俺の背中に隠れるように立っていたいずくの姿。
小さく、震えていて、
それでも俺を信じる目。
(……渡せない)
喉の奥が、ひりつく。
翌日。
教室に入ると、空気が重かった。
爆豪は腕を組み、視線を逸らしている。
上鳴と切島は、いずくの様子を気にしながら距離を保っている。
そして――
いずくは、笑っていた。
昨日と同じ。
何事もなかったかのように。
(……それが、一番危険だ)
昼休み。
いずくが一人で教室を出るのを見て、
俺は無意識に後を追っていた。
屋上。
「……焦凍?」
「どうしたの?」
(その優しさが、俺たちを壊す)
「……昨日のことだ」
俺は、距離を詰めた。
いずくが一歩下がった。
「謝る」
「兄として、越えた」
「焦凍……」
「だが」
「俺は――」
「お前を取られることを、考えただけで」
「冷静でいられなくなる」
沈黙。「…」
「それは……兄として、間違っている」
「それでも」
俺は、いずくの手を握りしめた。
「……焦凍」
「怖い?」
「……ううん」
「でも」
「兄さんが、遠くに行きそうで……怖い」
(あぁ)
俺は、
守る側でいられると思っていた。
でも違う。
(こいつは、俺を縛っている)
そして、
俺も。
「いずく」
「俺は、お前の兄だ」
「うん」
「……だが」
逃げない。
「それ以外で、いたいと思っている」
「焦凍、それって……」
「今すぐ答えなくていい」
「だが覚えておけ」
「俺は、引かない」
兄であることも、
想いを持つことも。
どちらも、捨てない。
いずくは、何も言えなかった。
屋上を出る直前、
背中越しに、俺は告げた。
「次に誰かがお前を怖がらせたら」
「俺は、兄でいることを完全にやめる」
それが、 脅しなのか、宣言なのか。
自分でも、分からなかった。
ただ一つ確かなのは――
戦いは、もう始まっている。
いいねよろしくお願いします。