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彰久は、幼少期から剣術に励み、家族を守るために日々戦に備えてきた。彼は、家族や一族のために命を捧げる覚悟を持ち、名誉を重んじ、他者に対しても礼儀正しく、まっすぐな性格だった。しかし、その裏には深い悲しみが隠されている。彼がまだ幼い頃、家族は一度、大きな戦に巻き込まれた。父親は戦場で命を落とし、母親は無念のうちに病に倒れてしまう。彰久はその時、まだ十歳にも満たなかったが、戦の無情さと自分の無力さを強く感じていた。その時の彼は、ただ戦いを繰り返す日々に疑問を抱くことなく、父の後を追うように剣術の腕を磨き続けた。
だが、十数年後。彰久が一度、戦場を離れて平和な暮らしを願っていた矢先、天狗・鷹矢との出会いがあった。
鷹矢は、山中の神社の守護を務める天狗であり、世俗の戦に関心を持たず、またその力で戦いの流れを操ることができる不思議な存在だった。最初、彰久は鷹矢の存在をただの幻だと思っていたが、ある晩、森の中でひょんなことから彼と出会う。
鷹矢との対話を重ねるうち、彰久はその戦いに関する価値観が根本的に変わり始める。鷹矢は、無駄な戦いがもたらす痛みや悲しみを見つめていた。彼は彰久に、「剣を振るう者の心が求めるのは、勝利だけではなく、何かを守るために戦うことだ」と語る。鷹矢はまた、彰久が父親を失い、孤独を感じながら生きてきたことを察して、優しく彼の心を癒やす存在となった。
だが、彰久の心の中には、まだ過去の戦の記憶が消えない。彼は鷹矢に頼んで、再び剣を取ることを決意する。しかし、鷹矢は一度、彰久に手を差し伸べ、戦うことの意味を問い直す。天狗のように、戦の先に何があるのか、平和を望む心をどこに見つけるべきなのか。鷹矢の言葉は、彰久の心に強く響くが、それでも戦いの宿命を背負った彼は、その後も戦の道を歩み続けていく。
だが、鷹矢と過ごす日々が深くなっていくにつれて、彰久は次第に彼への想いを抱くようになる。鷹矢は、戦いと愛、守るべきものと失うことへの恐怖、そのすべてを静かに受け入れ、彰久の心に寄り添い続ける。しかし、鷹矢もまた天狗としての宿命を背負い、その存在が人間の世界にとってはあまりにも異質であることを感じていた。
彰久の過去と鷹矢との出会いが、二人を試練の時へと導いていく。しかし、それはまた彼らの間に新たな絆を結び、戦いの中に愛を見出す旅でもあるのだった。