テラーノベル
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クリスマスを終えると一気に年末モード。朝から晩まで撮影やロケだったり大忙しの中で合間を縫って翔太と訪れたのは大晦日前日の蓮の家だった。
蓮 🖤『やぁどうしたの畏まって』
マグカップに注がれたのはコンソメスープ。いつもはコーヒーを出す蓮が、マグカップを愛おしそうに両手で大事そうに包み込みながら翔太に差し出した。家を訪ねると分かってから蓮が作ったのだとか。
蓮 🖤『好きだろ?俺の作ったコンソメスープ』
翔太は俺の表情を伺いながら答えていいものかと言いあぐねている。〝俺に遠慮しないで〟優しい声色でにっこりと笑顔を作り翔太の肩をトントンと優しく叩いた。小さく頷いた翔太は〝うん大好き〟と言って頰を膨らませてふぅーふぅーとスープを冷ましながら一口啜った。それに続いて俺も一口啜った。
亮平💚『美味しい…』
蓮 🖤『ふふっそう…良かった……もし迷惑じゃなかったら阿部ちゃんコレ貰ってくれない?』
🗒️翔太のコンソメスープ レシピ
と書かれた一枚の紙を俺に渡した。
蓮 🖤『簡単だから作ってあげて…寒がりだから朝飲むと心も身体もあったまる//翔太くん何で泣いてるの?』
肩を震わせ静かに泣く翔太は何も発さない。ポタポタと落ちる涙を優しく拭ったのは蓮の大きな手だった。
蓮 🖤『翔太君からいっぱい貰ってばかりだ。優しい君が大好きだった』
翔太💙『蓮の家に行きたい…』
そう翔太が言ったのはクリスマスで浮かれ気分のベットの上だった。痩せた胸板にゴツゴツしてて寝心地悪いなんて悪態をつきながらも気持ち良さそうに頰をぺたんと胸の上に乗せて心音に聞き耳を立てる翔太の頭を撫でると嬉しそうに笑った口角が元の位置に収まると不安げに瞳を揺らした。
亮平💚『どうした?』
翔太💙『何でもないよ』
何でもあるくせに嘘が下手なんだから…〝大丈夫だから言って?〟一人寂しく過ごす蓮を想う翔太の心持ちは愛ではないのは分かっている。翔太の口から放たれる〝蓮〟と言う名前に嫉妬しない筈はないのだがあれ以来きちんと3人で話せていないのが俺だって気掛かりだった。
翔太💙『蓮に会いたい』
分かってるそう言う愛おしい理由じゃない事も優しい翔太が蓮を心配している事も理解している。大丈夫だからと言ってグッと握った手に力が籠った事を易々と見破られ添えられた白い小さな手は〝ごめんなさい〟と言って何でもなかった事のように戻された。俺の首元に蹲る翔太の顔ごと抱き締めて〝会いに行こう二人で〟と言った俺にありがとうを伝えた翔太の目には涙が溢れていた。
亮平💚『優しい子なんだから…こらっ!くすぐったいからやめて////』
猫のように擦り寄ってきた翔太は冷たい手を背中に差し込んでギュッと俺を抱き締めると足を擦り寄せ二人の足が絡まった。
翔太💙『幸せすぎてね…嬉しい反面俺だけ幸せになっていいのかなって……』
亮平💚『うん……分かってる』
君を愛する誰もが君の幸せを願い〝俺こそが幸せに〟と息を荒げ競うように、奪い合うように翔太を求め傷付けた。それでも君は大切な彼らを邪険にする事なく友達として愛し続ける。君の優しさに触れ愛に溺れる蓮を我が事のように思う俺は彼を責める事などもはや出来ないだろう。
差し出された蓮のレシピを受け取ると、肩を震わせ声を荒げ泣き出した翔太の頰を拭った蓮の手は早々に退散するとグッとキツく握られた拳が寂しそうに見えた。
頭を撫でようと伸びた俺の手は勢いよく翔太の手に掴まれ同時に胸に飛び込んできた愛しき人の背中を摩ると翔太はより一層激しく泣いた。
蓮 🖤『参ったな…泣いてる姿も可愛いね//泣かせてるのが俺ってのも気分いい…ねぇ阿部ちゃん?』
亮平💚『相変わらず意地クソ悪くて清々する』
〝ふはっ酷いな〟いつもより元気のない蓮が寂しそうにキッチンに目をやった。その先に 置かれた発泡スチロールの箱が幾つか目に止まる。毎年年越しをこの家で翔太と過ごしていると聞いた事がある。大好きな海鮮を焼きながら明けてからもずっと二人でドライブなどしてこの数年過ごしているとか…
亮平💚『俺も海鮮好きなんなんだけど?蛤は欠かせない!ちゃんと用意してあるんでしょうね?』
蓮 🖤『えっ?』
つい今し方まで泣いていた筈の翔太が、あやされてピタッと泣き止む赤ちゃんのように、顎を上げる姿に思わずクスッと笑うと上目遣いで潤ませた瞳を向けた翔太は〝いいの?3人で?〟と言ってパッと笑顔の花を咲かせた。そこには俺の見たかった翔太の笑顔があった。
亮平💚『鼻水拭いて?間抜けな顔してる』
俺のシャツで顔を拭うと〝こらこらダメじゃない〟なんて言われて差し出されたティッシュに〝んっ〟と言って顔を差し出した翔太は蓮から涙を拭いとってもらってご満悦の様子だ。
亮平💚『そこまで甘えていいだなんて言ってない💢』
翔太💙『ごめんなさい//……蓮!ちゃんと蛤用意してるか?蟹は?イクラは?サザエも?』
蓮 🖤『ふふっちゃんと準備してるよ。本当にいいの?阿部ちゃん…二人きりで過ごしたいんじゃ…』
亮平💚『翔太が笑っていられる事が一番でしょ?蓮もその想いは同じでしょ?今年は二人の年越しに俺も参加させて?』
彼を間近で見守り続けた蓮が、寂しそうに過ごすなんてそんな想像するだけで、胸が苦しくなるほど繊細で優しさに溢れる翔太は、誰よりも蓮の幸せを願っているんだよ?だから二人で見守らせてね蓮が心から愛する人に彼以上に愛する人が見つかるまで……
蓮 🖤『再燃した時はごめんね阿部ちゃん…まぁまだ火は灯ったまま、まだ消えてないけどね』
亮平💚『やっぱり一人で過ごす?』
翔太💙『ねぇねぇ3人で同じパジャマ買わない?大晦日さパジャマパーティーなんてどう?』
女子高生みたいな馬鹿げた提案をする翔太に頭を抱える俺を他所に、クスクス笑いが止まらない蓮は〝イイねどんなパジャマ?〟なんて言って二人楽しそうにネットショッピングを楽しむ姿を見ながら二人が肩を寄せ合う間に割り入って薄手の前開きボタンシャツのシルク素材を指さし〝これに決まり〟と言うと如何にも寒そうなパジャマに抗議の声が上がった。
翔太💙『バカじゃん寒いよ!もっとモコモコもふもふの……』
亮平💚『バカはどっちよ?温めてって?可愛い声で甘えるのがセットだろっ?』
翔太💙『ヤン////バカァ……』
蓮 🖤『ねぇそのやり取り明日もやるの?ごめんやっぱり一人で過ごしたいかも』
亮平💚『はあ💢』
3人でお腹を抱えて笑う…こんな日があったって悪くないね翔太。
不安に打ち拉がれた夜も、一人寂しく過ごした時間だって何度も泣き腫らして抱き合った夜だって今のこの幸せの為だったと思える程に、そのどの時間も…蓮とぶつかり合った時間ですら今となっては愛おしい大切な時間だ。
亮平💚『じゃあまた明日ライブ終わりにお邪魔するね』
翔太💙『あの…少し二人で話していい?』
〝……分かった先に家に帰ってるね〟玄関ホールに響いたのは俺一人分の足音だけ。何度この家に翔太を一人置き去りにして帰った事か…不安がよぎり左腕をグッと握った。
翔太💙『大丈夫だから……ねっ?』
亮平💚『分かってるよ…』
東京の喧騒と雑踏の中に紛れるように行き交う人々の群れを掻き分けて、夕暮れ間近の街角に一人闊歩する俺は、これまでの事を物思いに耽りながら前へと進んだ。長い片想いの末に辿り着いた翔太との幸せは決して誰かの幸せと引き換えにして得ていいものではない。そんな聖人君子のような考え方は事恋愛においては、当て嵌まらないように思う。
好かれるために付く嘘偽りも、恋の駆け引きも、自身の狡賢さや卑怯さに打ち拉がれ、ありのままの自分でいられる事の難しさに直面し苦悩した日々が甦る。こんな頼りない俺を好きで愛してくれる翔太は、俺が片想いしている時から何ら変わらない混じり気のない純真無垢な笑顔を寄せてくれる。そんな彼を変わらなく愛し続けたい。
キリッと冷たい北風が首元から入り込み全身を冷やしていく。いつの間にか枯れ落ちた街路樹は寒々しい姿を暖かなイルミネーションでカモフラージュするようにキラキラと街並みを明るくすると、足を止めて辺りを見渡した。すっかり日が沈んだ東京の街に堂々と手を繋いで歩く二人組の男性に目が止まった。俺たちもいつか社会に認めてもらえる日が来るだろうか?そんな邪推な考えを振りかぶるように頭を左右に振ると再び繰り出した足は先程までより少し重く感じた。
翔太💙『歩くの早いね亮平?追いかけるの大変だった』
今し方の俺の暗い気持ちを回収するように何の躊躇いもなく握られた翔太の手が俺の手を優しく包み込んだ。見られたら大変だからと剥がそうとする俺を他所に〝誰も見てないよ〟とヘラヘラ笑う翔太は俺の首に蓮の家に置き忘れてきたマフラーを巻いてくれた。可愛らしく上げられた踵をショーウィンドウ越しに眺める。
翔太💙『屈めよ?』
マフラーをぐいっと引っ張られ二人の距離がグッと縮まり触れ合った唇はカサカサで外気に晒され冷たかった。マフラーで隠した二人のキスはショーウィンドウに踵を目一杯上げた翔太と共に鮮明に映し出されていた。
亮平💚『流石にこれはやばいでしょ?』
翔太💙『知るかよ//キスしたいからして何が悪いんだよ?』
怒ったように前を行く翔太の手を掴んでポケットに入れるとふふっと笑った翔太はこつんと肩を小突いた。〝ありがとうって蓮に言えたよ〟ポケットの中の翔太の手は指を絡ませ恋人繋ぎをしてぎゅっと強く握られた。
亮平💚『そう……頑張ったね//』
いつかもっと先の未来の話をできる日が来たら…翔太と過ごす毎日に沢山の色が付け足され幸せを実感する日々に今は何一つ不安なんてない筈なのに、君とのこれからを思う俺は少しだけ窮屈なこの世界でちょっぴり我儘な事を考えてしまう。
凍えるような寒さの中、カウントダウンライブを終えた3人が過ごすバルコニーでダウンジャケットをカサカサ鳴らしながら〝蛤焼けたよ〟と頰を赤らめた愛しい人はきっと俺との先の未来の事など興味無いだろう…
お腹いっぱいになりリビングのソファーで寝転ぶ翔太を他所にバルコニーで静まり返る東京の空を眺める。〝東京じゃぁなかなか星空見えないね〟寒そうに白い息を吐きながら手を擦り合わせて近付いてきた蓮は〝今年も宜しく〟と言って手を差し出すと〝こちらこそ〟と言って出した手を掴んだ蓮は真剣な眼差しで〝翔太くんを幸せにしてね頼んだよ〟なんてお前に言われたくないよなんて悪態をつきそうになってグッと堪えると〝もちろん〟と満面の笑顔で返した。
リビングを見ると何とも幸せそうにもふもふのパジャマで白いお腹を出して寝る翔太が目に入った。〝ほら早速幸せそう〟人差し指の先を辿って見る景色に目尻を下げてほっこりと笑った蓮は〝最高だね///今すぐ食べちゃいたい♡〟そう言った蓮の頭に特大のゲンコツを落とすとバルコニーに頭を抱えて蹲る蓮に初笑いした。
蓮 🖤『良かった何だか元気がないみたいだったから少しは元気がでた?俺でよければ相談に乗るけど?』
亮平💚『あぁ……考えた事ある?翔太と付き合ってる時その先の事とか…』
蓮 🖤『あぁそういう事?今は昔より随分と選択肢が増えたからね…二人で話し合う事が大事じゃない?それ以上は俺からは何も言えないけど』
〝翔太は先の事に興味が無い〟そんな事ないと思うよと言った蓮は、あまり難しく考えすぎだよと言って俺を窘めたけど俺はこういう風にしか生きられないんだよ…頭が硬いなんてよく言われるけれど何の保障もないこれからの未来に不安しかないんだ。
蓮 🖤『流れに身を任せるしかないよ?大丈夫翔太に任せておけばきっとその不安もすぐに解消されるよ?翔太は魔法使いだからね♡』
亮平💚『どういう事?』
蓮 🖤『ふふっ///何の常識も通用しない子だからね翔太くんは……そのうちに分かる』
首を傾げる俺に〝大丈夫大丈夫〟なんて背中を叩く蓮の無責任な後押しに少しだけ元気が出た。ただ…
亮平💚『こんなに説得力のない大丈夫は初めてだよ』
翔太💙『まだ外に居たの?亮平早く帰ろうよ』
もふもふパジャマに何処から出してきたのかうさぎのぬいぐるみの耳を掴んで床に引きずりながら近付いてきた翔太は白いお腹をぼりぼり掻きながら眠気眼を擦っている。俺の不安なんてちっぽけだなって思えてしまう程一瞬で花開いた俺の笑顔にクスッと笑った蓮は、穏やかな笑顔だった。
亮平💚『きゃぁ可愛い///おいで可愛子ちゃん♡』
宙に舞うぬいぐるみを見送りながら飛び込んできた愛しき人を抱きしめキスをすると〝イチャつくならさっさと帰れ💢〟と蓮の家を追い出される。
翔太💙『あっ蓮今年も宜しくね♡』
亮平💚『デレデレ鼻の下伸ばすなよ💢いやらしい目で見るな』
蓮 🖤『見るのは自由だろ?pricelessだ』
〝嫌味な発音ウザっ〟なんて言う俺に、〝まあまあいいじゃない?俺って可愛いからさ〟何て言う翔太の手を取って寒空の中を歩いて帰った。
誰も居ない静まり返った二人だけの帰り道。腕に絡まる翔太と身を寄せ合って歩くとマンション前の公園でどちらからともなく唇を寄せ合った。
翔太💙『カッサカサ////』
亮平💚『お前もなっ💢キュルキュルにして?』
翔太💙『帰ったらな』
帰ったらなんて言いながら舌を抱き合わせてキスすると静まり返った公園に二人の水音が響いた。
コメント
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うさぎのぬいぐるみを🐰ひっさげた翔太💙が可愛すぎる、、、🥹続きのセンシティブは今日読める?🥰🥰
明けましておめでとうございます🎍 今年も宜しくお願いします🙇 ほっこり可愛いく時には泣けるようなそんなstoryが描けるように頑張れたらなぁと思います♪愛される作品作りに努めたいと思います💙