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数分後、城から先程の警備員が戻ってきた。そして鋭い視線を啓次郎に向け言伝を伝えた。
「上からはそんな人物は知らないとの伝言です。あなたはどちら様ですか」野太い声が恐怖となり啓次郎は冷や汗をかいていた。
「あ〜っと…すぅ…」目の前にある威圧感に恐れ、言おうとしていることも言えなくなっていた。
「許可は降りておりません」野太く厳しい声は変わらない。
「えっと…」
「このまま、居るのであれば不審者として扱いますが?それでもよろしいですか?」
「いいえ〜!よろしくないです…」
「それではご用件は?」
次喋る言葉に詰まっている啓次郎。すると、「オレタチハ、トップサマヲスクイ二キタンダケイビイン。トメラレテハコマル」とコスモスピーカーが言った。
「誰の頼みで来たのだね?」コスモスピーカーが言おうと警備員は揺るがない。まあトップを危険にさらしてはいけないからだろう。
「シミンカラダ!エイユウノナガシマケイジロウヲシラナイノカ!!」
そう言うともう一人の警備員が驚いた様子で野太い声を持っている警備員に耳打ちした。するとその警備員が啓次郎の方を向き口を開いた。
「それはそれは失敬。それでは」そういい門を開け、啓次郎を通させた。
「ふう…」啓次郎は安心しため息を付いた。
目の前にある城はとても大きく迫力がある。半透明の外壁は七色に輝いていた。
警備員に案内され、城内のさらに奥へと進んだ。そこは地下で薄暗かった。
「こちらです」
そう言われた先にあるのは南京錠のかけられた黒い扉だった。警備員は南京錠を外し、扉を開けた。
そしてその奥にいたのは白いジャンパーを着て、その下には黒いパーカー。フードを深く被り白いギザギザとした仮面を被っていた。
「ははは。誰と言われてみれば君か。永島啓次郎。前トップと出会ったというね」優しく語りかけるその口調はどこか恐ろしい感覚がした。
「俺の名前は水上公晴といいます。武装集団エントのリーダーです。そちらの名前は存じてます」
「トップはどちらに…?」啓次郎は緊張で出ない声をなんとか出して言った。
「俺は前トップを探していましてね。このトップに“取材”をしてたまでです」そう言うと右からトップと思われる人物がやって来た。
トップと思われる人物は顔にいくつか傷がありそこから血が出ていたり、服に汚れがついていた。
「トップ!」啓次郎は思わず叫んだ。
「永島氏…ケホッ…」苦しそうにトップは答えた。
「心配ご無用。死にはしません」水上は余裕そうに話す。
「トップをどうする気だ!」
「なにも。彼から話は聞きました。それ以外目的はないので返還しましょう。ですが、彼を返す代わりに「エントはハッピーランドから去った」と国民の皆さんにお伝え下さい。分かりましたか?トップ」
「あぁいいだろう…ケホッ…ケホッ」
「トップ。大丈夫ですか?」
「ああ。大丈夫だ。君は帰っていい。後は私達に」そう言うと啓次郎は警備員により部屋から追い出された。啓次郎は扉の前で本当にここへ来て意味はあったのだろうかと自分自身にそう問いかける。
そんな時。目の前を白いジャンパーを着、その下に黄色いパーカー。フードで頭を覆い、ギザギザとした仮面で顔を覆っているエントと思われる人物が横切った。啓次郎はふと彼の右手首に視線を向けた。ジャンパー、パーカーの裾を捲っていたため右手から肘が見えた。啓次郎は彼の右手首から肘までを見て驚いた。そこには火傷の痕があったのだ。啓次郎はまさかとは思ったが行動することはできなかった。