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AM 4:30
いつものように頬を伝う涙を拭き取ると洗面台に向かい顔を洗った。
鈴花 ひどい顔してる‥急がなきゃ
いつもより30分起きるのが遅れた。あいつのせいだ。夜明け前、車を走らせて目的地へ向かう。東京は眠らない街と言うがこの時間の道路は空いていて、ものの10分程で市場へ到着した。挨拶もそこそこに済ませると目的の花市場へ向かう。
男 おはよう鈴花ちゃん。注文もらってたのは準備できてるよ。他にも買ってく?
鈴花(品定め中‥‥)
カラーとスノーボールあっあとラナンキュラスをお願いできる?
仕入れた花々を車に積み込みお店へ向かう。
薄明の空に取り残された三日月が綺麗に輝いている。もうすぐ夜明けが近い。花の匂いが充満する車内で缶コーヒーを口に含んだ。お店に到着してすぐに注文を受けていたブーケを作成する。
予定より40分遅れてる….急いで積み込みを済ませいつもの配達先へ出発した。イレギュラーなのは式場だけ。AM 10:00までにとのご依頼を受けている。
鈴花 まあなんとか間に合いそうだ
式場へは9:55到着。ギリギリだ。
鈴花 遅くなり申し訳ございません。ご注文いただいたお品物になります。
今日はドラマの撮影でブーケが必要とのこと。シーンに合わせて2パターンのブーケの注文を頂いていた。
帰ろうと中庭にふと目をやると鈴蘭が咲いていた。花言葉は〝幸せの再来〟
鈴花 再来….笑 私には無縁だ…(なんせ幸せだと感じた事など一度たりともないだから)
同じように鈴蘭を見つめる…いや、しゃがみ込んで手でツンツンと遊んでいる男性と目が合った。
翔太 鈴花ちゃん?…だよね?
昨夜の塩顔イケメンがスーツ姿でそこに居た。最悪だ、、、慌てて逃げるようにその場を離れる…が
鈴花 ちょっと着いてこないでよ!
翔太 お願いだから話聞いて!
腕を掴まれその場に立ち尽くすしかない。撮影スタッフと思われる人たちが不思議そうに見ている。
翔太 ごめん昨日の事謝りたい。本当に…
鈴花 やめて!もういいから昨日は何もなかった!それで良かったでしょ!
掴んでる腕を振り解き、車に乗り込んだ。その日は1日最悪の気分で過ごし、夜の仕事も休ませてもらった。
1週間後また彼と会う事になるなんて、、、