お金をかけすぎると気後れさせてしまいそうで、手頃な居酒屋に入った。
2人でカウンター席に座る。
「とりあえずオムライスね」
「居酒屋来てとりあえずでそれ食べる?」
「いいじゃん、好きなの!他にも頼むから」
いけない、果たさなければいけない目的があるんだと気を引き締め直す。
「樹何歳だっけ?お酒飲める?」
「20、あんま強くないけど飲める」
4つ年下なんだ、謎の多い樹のことをまたひとつ知れて嬉しい。
日が経つにつれて私への態度が淡白になってる気がする。口数も減ってなんだか寂しい。いや、元々喋らなかったけど。
酔ったら新たな一面が見れたりして…ここに来たのはそのためだ。本音を聞き出してやる。
「じゅりぃ、飲んでる?」
「もういいだろ。飲みすぎんなよ」
同じペースで飲んでいるのになぜか私の方が酔って、樹は顔色が全く変わっていない。作戦は失敗か、
「なんでよお…」
酔いが回って感情の制御ができなくなった。樹に抱きつくようにもたれかかる。
「おいっ、くっつくなって」
そんなこと言って、鬱陶しそうにしてるくせに退けようとはしないんじゃん。
そのまま肩に顔を乗せてたら、暖かいし眠くなってきた。
「無理重い!」
「えぇぇ」
私を引き剥がそうと体を避けるけど樹の腕にしがみついて意地でも離れない。
「あのなぁ…え、なに泣いてんの?」
おかしいな、だんだん視界がぼやけてくる。こんなことしたいわけじゃないのに。
「だって樹がぁ」
「はいはい、なんですか」
頭を撫でられて心が落ち着いた。呆れたような口調なのにその声音は優しい。
ってなんか私が樹のこと好きみたいになってんじゃん。子供みたいで恥ずかしい。酔っ払いのすることなんて真に受けなくていいよ、
コメント
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きっとツンデレなんだろうな🤭