その後、卒論が本格的に完成するまで、響とは離れて暮らした。
ただ…ずっと連絡は取り合ってて、響は「会いたい」なんて素直にメッセージしてくることも。
ただ、私の大学卒業がある程度確約されるまで、会うなんて余裕はなかった…。
ごめんね響…w
そしてようやく心配事が解消して、すぐに響に連絡をした。
「多分卒業できます会、やっていい?」
「は?」
卒論のデータまとめとか、手伝ってくれた真莉ちゃんと約束したお礼なんだけど…。
………………
「ども。お久しぶりッス」
「…お前さ、遠慮なくよく来たな?
やっっと琴音に会えるって日に…」
「はぁ…すいません…」
響のマンションに、招待した真莉ちゃんがやってきて、早速響が威嚇してる…。
「卒論手伝ってくれたお礼をするって言ったでしょ?!」
真莉ちゃんと2人で会ったら、響が嫌がるだろうから、これでも配慮したつもり。
「ヤッホー!優奈も来たよん」
真莉ちゃんの後ろから優菜ちゃんも顔を出す。
…響の顔が、また少し曇った。
皆を集めて作るメニューは…
エプロンを着けて冷蔵庫を覗いてみると、やっぱりあった高級食材!
「海老と蟹…!海鮮鍋にしよう…!」
すると響、殻つきの牡蠣もあるという。
剥きかたもわからずに牡蠣と奮闘していると、響がそばで「…危ない!」と言って、知り合いのシェフを呼ぼうとする。
「大丈夫!こんなの適当にやれば外れるはず…」
と、その時、手が滑って指先を殻で引っ掻いてしまった。
「ほらっ!危ない!」
私の手を取って、流水で流すと、すぐにパクっと咥えられた。
「や…!なんかえっちぃ…!」
瞬間赤くなる…。
だって血なんか出てないんだもん。
レロ…と、舌が巻き付く感覚が伝わる。
ニヤッと笑った顔がいきなり妖艶で、会えない間についにおかしくなったのかと心配になった。
実は…私だって、今日はちゃんと覚悟してここに来た。
新しい下着は、薄いピンク。
ショーツはなんと、両脇は紐。
男子が喜ぶってリサーチ済み…!
お風呂から出ると、いつもは響のTシャツを着てるけど、今日はちょっと雰囲気のあるスリップを着るんだから…!
「あ、あとで…なんでもするから、今は皆で楽しも?」
そう言って、わかりやすく小首をかしげてみれば…
「…わかった」
素直に返事をした響、私の頬をスルリと撫でた。
気をよくした響は、旅行の時みたいに高価なお酒を皆にごちそうしてくれた。
「響さん、俺は一発OKで卒論決めましたので、来春から…よろしくお願いします」
武者小路グループに入社する真莉ちゃん。
「そういえば、グループのどこの会社に内定が決まってるんだっけ?」
優奈ちゃんの質問だけど、真莉ちゃんは響に向かって言った。
「総合商社、…そこの、経営企画室で仕事をしたいと思ってます」
「そこなら俺の管理下だ。じゃ…真莉は来春から俺の部下か…ふーん」
「あの…聞いてます。響さんが新事業に着手してるって」
真莉ちゃん、妙に真剣な顔。
「あぁ…。もう漏れてるんだ。さすがうちに来るだけのことはあるな。情報が早い」
「その新事業、FUWARIの経営危機があるからですか?…それとも」
「…お前はどうなんだよ。ずいぶん新事業に興味があるみたいだよな。その理由は?」
「…理由は、別に」
「俺と同じだったら、気に入らない…!」
なんとなく、話が見えない。
じっと黙る真莉ちゃんと、強い目で見つめる響。
2人がどことなく不穏なやり取りをしてるみたいに見えて、私は優菜ちゃんと顔を見合わせた。
優奈ちゃんが場の空気をうまく変えてくれて、また和んだ雰囲気になる。
響はなぜか、となりに座る私の腰に腕を絡めて、より一層自分の方に引き寄せた。
…………
「それじゃ…今日はごちそうさま!」
珍しく酔ってフラつく真莉ちゃんの腕を取って、優奈ちゃんが片手をあげた。
またね…と2人に手を振り、ドアが閉まって振り返ると…。
「一緒に、風呂入る…?」
目の縁をほんのり赤く染めた響が、私の手首を取って抱き寄せた。
「…今日は、いい?…もう何の邪魔もないよな」
「…いいよ。響、好き…」
「琴音、愛してる…」
こんなベタなセリフを言えたのは、きっと2人ともお酒が入ってるから。
強く抱き締められて、今日は響からのキスが始まる…
まだ後片付け終わってないけど…お風呂入ってから、用意したスリップを着たいけど…
響のキスは今までにないほど性急で、深い。
舌を絡めて、歯列をなぞって、粘膜をくまなく犯される…
「…んっ…ふぅ、あっ…」
下唇が甘く噛まれる…私も仕返しをする。
響の手は強く背中を這い、そのまま下りて、お尻をムギュ…と揉まれる。
そして私を抱き上げたので…お風呂に連れて行かれると思ったのに…
「初めてなのに風呂場じゃまずい」
と言って、ベッドに組み敷いて、私も…もうこのまま抱かれようって覚悟した。
その瞬間…
インターホンが鳴った。
2度、3度、4度…
5回目で、さすがに響の胸を押して言った。
「ちょっと、出よう。真莉ちゃんたちかもしれない。忘れ物かも」
「…なん…っだよっ…もうっ…!」
その場に仰向けになって、響は髪をグシャグシャに搔き乱した。
てっきり真莉ちゃんたちだと思いつつ、服の乱れを直しながら出てみると、あまりに意外な人の訪問に、息を飲むほど驚いた。
「響…いるよねぇ?ちょっと開けてくれるぅ?」
モニターに写っていたのは、
武者小路グループの頂点に君臨する現会長、響の父親…武者小路正孝だった…。
コメント
1件
父〜っ😭😭😭なんてタイミングの悪さ… それも語尾に小さいぇとぅが😂 響またおあずけだねぇ。琴音ちゃんも覚悟決め勝負下着用意してのにねぇ…(_ _。)ガッカリ… でもチャンスかも〜💡結婚式の日程決めちゃおうーっ٩(`・ω・´)و オォォォ!!! 我ながらイイ案と思う✌️😁