「銀河の奴は当時からモテてたんで、彼女になった美憂への、女たちからの嫌がらせが凄まじかったんだ…。
もちろん、あいつは全力で美憂を守ろうとしてたし……自分のいるところじゃ手なんか出させなかったけど、
あいつのいないところで、美憂は、ずっと陰湿なイジメを受けてたらしくてな…」
「……。……そんなの、って……」
辛い思いに喉が詰まって声も出せなくなるようで、なんて言ったらいいのかがわからなかった。
銀河の悲痛なまでの想いがひしひしと伝わってくるようで、私はこぼれそうになる涙をようやくこらえていた。
「……美憂は、もともとおとなしかったから、陰で執拗に続くイジメに抵抗もできずに、だんだんに追い詰められたようにもなって、
ある日、自分から死ぬことを選んだんだ……」
「自分から死って……そんなっ……!」
胸が押し潰れそうな程に痛んで、こらえ切れなくなった涙がつたい落ちた──。
「銀河が寸前のところで救うことができて、一命は取り留めたんだが、もう美憂との仲は元には戻らなかった……。
美憂の方も、奴との付き合い自体がトラウマみたいになって、銀河のことを受け付けなくもなってたしな……」
そんなのってないと思う。最愛の人を、そんな形で失ってしまうだなんて、きっと耐えられないと感じた。
どうして銀河がそんなに悲しい想いをしなければならなかったんだろうと思うと、涙があとからあとからあふれて止まらなくなった。
「……あいつは、それからずっとあんな風だ。人付き合いは良くなったかもしんねぇけど、チャラいばっかりで誰とも真剣に恋をしようとはしない。
いつまでも過去に縛られて、美憂の面影ばかりを追ってやがる。だから、こないだみたいなことでも、あんなにすぐに頭に血が上って……。
あいつは、わかってねぇんだよ。自分から過去は乗り越えなきゃならねぇってのに、いつまで縛られてるつもりなんだか……」
流星が苦い顔でタバコの煙を吐いて、吸い殻を灰皿に押し付けた──。
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