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「やめて! 気持ち悪いこと言わないで! そっちが浮気したくせに、もういい加減にしてよ」
「浮気ぐらいでガタガタ言うなよ」
「最低。帰らないなら警察呼ぶから」
「呼んでみろよ。お前が恥ずかしい思いするだけだぞ」
佐藤君は低い声でそう言って、ポケットからスマホを取り出し、ササッと操作して私に見せた。
嘘……
私が佐藤君のベッドで眠ってる写真だ。
上半身裸で胸が半分写ってて、佐藤君も自撮りで映り込んでる。
こんなのいつの間に撮ったの?
思わず体から血の気が引いた。
こんなの、絶対、柊君に見られたくない。
「こんな写真、一瞬で世界中に出回るから怖いよな~。他の男とのいやらしい関係を想像させるような写真を見たら、お前のフィアンセもさすがに冷めるよな」
「やめて! お願い、絶対に……やめて……」
怖くて、不安で、悲しくて、負の感情で声が震える。
「毎月50万でいいや」
「そ、そんな大金、払えない。無理に決まってる。それに私、柊君に嘘つきたくない。黙ってお金を使うなんて絶対したくない」
「お前さ。ことの重大さ、わかってる? こんなの見たら結婚は確実に破談になるぞ」
佐藤君は、私の髪を掴んで壁に押し付けた。
あまりの恐ろしさに涙が止まらない。
柊君、お願い、助けて――
来るわけないのに、そう願った。
髪を引っ張られたまま、私はただずっと怯えるしかなかった。
その時、ドアが勢いよく開いた。
「何してる! 柚葉を離せ!」
「柊君!!」
どうしてここに柊君がいるの?
わけがわからないけど、確かに目の前に柊君がいる。
「お前がこいつのフィアンセか? ナヨナヨしやがって」
そう言って佐藤君は、私を再び押し倒してから、柊君に掴みかかった。
「柊君逃げて! その人強いから!」
必死でそう叫んだ瞬間、柊君はその攻撃をかわし、代わりに佐藤君のガッチリした体を掴んで床にねじ伏せた。
え……嘘……?
いったい何が起こったの?
さっきから展開が早すぎて、理解が追いつかない。
「柚葉! 警察呼んで」
「あ、うん! わかった」
「待て! いいのか、この写真、この男に見せても!」
佐藤君は、柊君に押さえつけられたまま激高した。
その瞬間、私は、どうしようもない感覚に襲われた。
柊君が、スマホを取り上げて、私と佐藤君の写真を見てしまったから――
もう、終わりだ。
本当に、そう思った。
「こんなつまらない写真で柚葉を脅して、ただじゃ済まない! もし、今後柚葉に少しでも近づくことがあれば、こっちにも考えがある。まあ、二度と立ち直れないくらいのこと、僕は平気でできるから気をつけた方がいい」
柊君の言葉に一瞬ゾクッとしたけど、いつもとは違うこんな一面もあるんだって、何だかとても男らしく思えた。
「はぁ? 誰がこんなクソ女に二度と関わるか! お前、おかしいんじゃないのか? こんなつまんない女のどこがいいんだ」
佐藤君は強気でそう言いながらも、腰はかなり引けていた。
「柚葉がつまらない女だって? 彼女の魅力がわからないなんて可哀想な男だな」