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宮本の自宅に連れられた橋本の顔色は、微妙なものだった。帰る道中の宮本の様子が、今まで見た中で一番といっていいほど変顔で、一抹の不安を覚えずにはいられなかった。
「雅輝あのさ、久しぶりなのはお互い様だろ。壊れない程度にしてくれると、俺としては助かるというか」
「何言ってるんですか陽さん。壊れるような抱き方なんてしませんよ」
「しそうだから予め注意を促しているんだ、このクソガキ!」
ベッドに腰かけながら、他にもギャーギャー喚く橋本を尻目に、自分用に購入した青いネクタイを取り出し、問答無用という感じで後ろ手に縛りあげる。抱きすくめる形で拘束しようとしているので、耳元に橋本の吐息の変化がいやおうなしに伝わってきた。
「ふふっ……。こんな陽さんのフィギュアがあったら、一日中眺めていても飽きない自信があります」
縛り終えて立ち上がり、まじまじと橋本を見下ろした。
「なにを言ってんだか」
いやらしい感じで注がれる宮本の視線から逃れるように、橋本は顔を横に背けた。
「口では嫌がることを言ってるくせに、少しアソコを硬くさせて期待している、エッチな陽さんのフィギュアが欲しいです」
「欲しがるな! それに俺のは硬くなっていないからな!」
橋本は宮本の告げたことにギョッとして、横目で睨みながら否定する言葉を吐き捨てた。
「またまた~。俺がネクタイで縛ってるときに感じて、荒い息を吐いていたのは、どこの誰でしたっけ?」
顔を背けたままの橋本。困ったことがあったときは、必ずといっていいほどこのリアクションをする。宮本はもっと困らせたくて、わざわざ顔を寄せつつ事実を突きつけるように、さきほどの橋本の様子を告げてみた。
「結び終える瞬間に小さな喘ぎ声を、俺は聞いているんですけどねぇ。他には我慢できないといった感じで、膝頭をもじもじさせていたような?」
「しらねぇよ……」
「ほら、もうこんなになってる」
目元を赤く染めた橋本の顔を凝視しながら、ダイレクトに下半身に触れた。触れ慣れているそれは、とても熱く完勃ちしていた。
「それはおまえが今触ったからだって」
「陽さんのって一気にこんなふうに、大きくなっちゃうんですか?」
「そうだよ! 欲しくてたまらなかったからな!!」
今度は宮本の顔が真っ赤になった。いきなり煽り返されるとは思わなかったので、衝撃が半端ない。
「俺は両腕を縛られて動けない。雅輝がなんとかしてくれなきゃ、なにもできない状態なんだ。わかるだろう?」
「ま、まぁそうですね。もしや、外せと言ってます?」
「言ってないだろ。俺の言うことを聞けばいいだけの話だ」
逸らした顔をもとに戻し、意味深な笑みを浮かべた橋本に、宮本はドギマギを隠せない。
「おまえのを咥えたい。ズボンから出せよ」
「俺だって陽さんのを――」
「俺の言うことを聞けって言ったろ。雅輝の感じてるところを見たい。俺が感じさせられたら、見られるものが見られねぇんだって」
言いながら床に跪き、宮本の下半身に頬擦りする。
「でも……」
「俺はおまえの要求をのんでるだろ。こうしておとなしく縛られてるというのに」
「ううっ、確かに」
優しく指摘された言葉に観念した宮本は、橋本の言うことを聞いたのだった。