塔を抜け、茂みに三人で隠れる。
城の様子を窺うと、此方のほうが優勢なようだ。戦法や作戦が上手く行ったようでひとまず安心。
「…すみません、私達一族が勝手なことを…、」
今までにないような瑞華の人の変わり様に驚く。…いや、瑞華は本当はこのような優しき少女なのかもしれない。後宮に入宮してきたときより表情が柔らかく、何よりあのような自分の命も危うい状況で私の前に現れ、助けを出してくれることも内面が悪い様ならしないだろう。
「いえ、…少なくとも。后の命を助けてくれたことには感謝いたします」
「…!、、、此の位、当然のことです」
「何故?助けようと…」
「…私がそうしたかった。本当はっ…傷つけようなんてッ…貴方と愛する方との幸せな関係をッくず、すなんて…」
「…、そうですか。…少なくとも、今の貴女にはその心があるように見えます」
「…」
「此処から出るにはどうすれば?」
「この裏口から回って、死角に入り、そこから私が馬車を引きます」
「…ありがとうございます」
「皇太后も早く治療をしないと、兵に言いつけていたとはいえ、傷もあります。
…私が責任は取ります。簡単な治療を済ませてから向かいましょう」
「そうですね、私は一応水と包帯を持ってはいますが…」
「それでしたら、私は消毒水を持っていますのでなんとかなるでしょうか…」
「後宮に戻ったら手厚い治療は保証されるので、…瑞華、なんとか今の間だけしのげる程度の治療、可能ですか?」
「任せてください、」
「ありがとうございます」
戦い者たちにバレないよう、早々に治療を行う。手の動きに迷いのない瑞華は以前からこのようなことをしていたのだろうか。俺はdnqさんを優しく抱きしめて、力なく握り返してくれるその手を、強く、強く、握りしめた。
「大体は済ませました。…このまま向かいましょう、皇太后の命が狙われるのも時間の問題です」
「そうですね、では、瑞華。よろしくお願いします」
「御意」
凛々しい顔をした彼女は俺の手を引いて馬車の隠してある場所まで連れていき、乗せた。
dnqさんを下ろすまもなく、馬を走らせだした瑞華。馬車の中でdnqさんを背中から前に抱き直すと、自分を落ち着けるように抱きしめた。
NEXT1000
コメントくだされ…(
ほんとに情景が想像しにくいかもですごめんなさい…
コメント
4件
情景、めっちゃ想像できておりますよー!そして、相変わらずのスパダリ王子の皇帝mfさま…!! まだ瑞華の一族が捕まってないのが気になりますね、そこがハッキリしないといつまた命を狙われるかも分からないし…ハラハラしますね、無事に後宮に戻れるのか…!!
瑞華いい子過ぎる…! やっぱ一族のせいだったんだな… どぬちゃんもふくんとは馬車でもイチャイチャしてください!

うわぁーん、助けてもらえてよかったです…うぅ、ううぅ、(涙)でも瑞華さんはどうなってしまうのか…(涙)ううう、、3人ともみんなハッピーエンドであれ…です(涙)dnさんの身体も心配で、、ひやひやしてます。。でもmfくんがdnさんを抱き締めてるところ、しっかりきゅんしました。