薄暗いライトに照らされ‥彼が突き動かすたびに、甘い痺れが全身に広がるのを感じた。
両足を胸につくほど密着させられ‥最奥まで貫かれる‥結合部分の卑猥な音と俺の声が‥静かな部屋に響き渡る。
「ん‥もっと‥」
身体が‥心が‥渇望しているのだろうか‥
もっと欲しいとせがむ‥
堪らず、ギュッと背中に抱き着くと‥優しく撫でられ‥愛してる。と何度も囁いてくれた‥。
優しい声に、泣きながら小川さんの顔を見つめる‥
‥あんなに泣いたのに、俺の涙は枯れることを知らないのだろうか‥
それでも‥苦しかった‥
痛みでどうにかなりそうだった。
祐希さん‥
迷惑やったん‥?
あの時の言葉は‥表情は‥
嘘をついてるようには見えんかったのに‥。
嘘つき‥
嘘つき‥。
‥止めどなく流れる涙を、小川さんが唇で受け止める。
俺を愛してると言ってくれた‥。
今はこのぬくもりが全てなんだと思う。
俺の全て‥
小川さんの刻むリズムにしがみつく。振り落とされないように‥置いていかれないように‥。
そして‥
自ら唇にキスを送る。確かめるように舌を差し込むと、すぐに応えるように深い口づけを与えられ‥
俺の内部を抉る動きも激しさを増した。激しい快感が全身を襲う。
「も‥ダメ‥あっ、まっ‥て、」
一気に襲う快楽に、恐怖心すら感じ無我夢中で小川さんを止めようとしたが‥逆にその手を掴まれ指が絡みつく‥
「らん‥俺に全部見せて‥」
「‥やっ、」
「ダメだよ、こっち見て、俺の目を見て‥」
身体はすっかり感じさせられていたが‥まだ羞恥心があった‥。とてもじゃないが、目なんて見られるわけがない‥
必死で顔を枕に埋める。
そんな俺に‥
「こっち見ろよ、自分で見るんだ、いま、誰がお前を愛してると思う?」
‥小川さんの言葉尻が強くなるのを感じた。
すると訳もなく不安な気持ちが押し寄せる‥
嫌われるんじゃないかと‥
愛想を尽かされるんじゃないかと‥
‥そんなのは嫌や‥
小川さんまでおらんくなったら‥
震えながらも意を決して、見つめると‥
「そう‥上手じゃん、らん‥」
まるでご褒美だと言わんばかりの激しい口づけを与えながら、ニコリと笑う。
「きもちいい?」
「ん‥きもち‥いい」
素直に伝えると‥動きがさらに加速する。的確に俺の弱い部分を責められ‥腰が淫らに揺れるのを止められない。
「名前‥俺の名前呼んで?」
荒い息の中、そう言われる。
「らん‥名前で呼んで‥」
「なまえ‥?」
見つめる先に‥熱に浮かされたような視線と絡み合う。
欲情の色‥。
求められるがままに‥望む言葉を口にする。
「ともひろ‥」
言葉を発した途端に、最奥をこじ開けられ‥深く貫かれる。
「やっ、‥‥も‥‥だめ‥‥‥」
身体が激しく痙攣し‥意識が飛びそうになる。そんな俺に‥
「らん‥お前、潮吹いたの?可愛い‥」
ぐっしょりと濡れる俺のモノを触りながら小川さんが囁く。
「びっしょりじゃん‥」
「や‥言わんで‥」
「なんで?可愛いよ‥らんは全部可愛い」
顔中にキスの雨が降る。俺を触る手に力を込めながら‥
「らん‥一緒に‥」
限界なのだろう‥小川さんの声に余裕がなくなる。
腰の動きが加速し、これ以上ないぐらいに身体の奥に侵入してきたところで‥
熱い熱をゴム越しに感じた‥。
そして‥
俺自身も熱を解き放す。
‥長い夜が明けそうな気がした‥
いや‥
もしかしたら‥
小川Side
それからまた数週間が経過した。
俺達の関係は‥
続いていた‥
ただ‥
変わったことと言えば‥
「めっちゃ食べた!もう食べれん!藍、サンキュー」
「小川さん、小さいのによくこれだけ食べたね、笑」
「おいっ!!黙れ!笑」
今夜も藍が俺の部屋にやってきて、手料理を振る舞う。
先輩に対して憎たらい事を言うが‥嬉しそうに片付けをする姿は特別なものを感じる。
♪♪♪。
ふと‥着信音が鳴り響く‥。
あっ、携帯‥。
「もしもし?‥うん‥あっ、今?大丈夫だけど‥何?‥‥‥ 」
チームメイトからだった‥。
暫く談笑し‥
「はぁ?今から?どうしようかな‥っておせーわ、こんな時間に!笑」
ゲラゲラ笑いながら話し終えすと‥片付けをしていたはずの藍がすぐそばに近寄り、俺の服を引っ張る‥
「お‥がわさん‥どっか行くん?」
「えっ?いや、行かないよ!藍が来てくれてるのに行くわけないじゃん!」
俺の言葉を聞いて、不安に揺れる目で見ていたが‥ホッとした表情に戻る‥。
「なに?俺が行くと思った?寂しい?藍は寂しがり屋だな」
なんて‥笑いながら見つめると‥コクリと小さく頷く藍が‥堪らなく可愛かった。
そして‥夜も更け‥
お互いにベッドに潜り込み‥
「おやすみ‥チュッ」
頬にキスをする。
でも藍は‥
「お‥がわさ‥ん‥」
そう言いながら‥横でもじもじと落ち着かない。
「なに?」
「今日‥せんの?」
チラリと顔を覗くと‥薄暗い明かりの中でもわかるほど‥顔が赤面している。
途端に意地悪心が顔をだす。
「何をするって?」
「‥するってアレしかないやん‥ね‥しないん?///」
「ふーん、アレね‥」
ニヤリと笑い、俯く藍を後ろに押し倒す。
「ちゃんと言えよ、何がしたいって?ほら、自分の口で言ってみ?」
顎を掴み軽く揺すりながら、唇が触れそうな距離で再度聞くと‥薄く開いた唇が震えながら‥言葉を紡ぐ。
「‥エッチがしたい‥‥」
「そんな言い方?教えたでしょ?」
するりと服に手を差し入れ、撫で回す。俺の指先一つで、身体が反応するのがよくわかる‥。
俺の言葉に、唇を噛み締め‥恨めしそうに俺を見つめていたが‥
「ともひろとエッチしたい‥お願い‥」
最後の消え入りそうな声を聞いて、満足気に抱き寄せると‥
欲望をまとった瞳とぶつかる‥。
少しずつ‥
教えたから‥
藍の心に‥
身体に‥
これで藍は‥
俺がいないとダメになる。
俺なしでは生きていけなくなるだろう。
そう仕向けたのは
俺だ‥。
ほんの少し離れるだけでも
藍は落ち着かない。
行かないで‥と
泣きそうな顔になる。
夜も‥
寂しさが募るのだろう‥
機嫌を取るように誘って来るようになった。
それでも‥
藍、お前は‥‥‥
好きだとは言ってくれないんだな‥
どれだけ身体を重ねても‥
愛を囁いても‥
その一言を
お前は言ってくれない‥。
俺の欲しいものはたった一つなのに‥
それがやけに遠い‥
嘘をついた罰なのだろうか‥‥