主人公は玲音くんです
ある夏の日の朝
渚と遊んだあの夏の日の昼
1人で散歩したあの夏の日の夜
俺もあいつも夏が好きだった
いや、俺は夏の日のあいつの笑顔が好きだった
夏になるとあいつはいつも笑顔になった
なんで夏が好きだったのかは分からない
渚は隣の家に住んでいて
いつも一緒にいてくれた
でもあいつは死んじゃったんだ…
あの夏の日に…
それから俺は夏が嫌いになった
俺の大事な人を奪ったあの季節が
渚はいつだって明るい性格だった
反対に俺は暗い性格でいつも1人でいた
そんな俺に気づいて
声をかけてくれた渚は俺の初恋の人だった
な「玲音!」
れ「なに?」
な「山に行こう!」
れ「今忙しいから明日ね?」
な「嫌だ!今日行くんだ!今行くんだ!」
れ「無理だよだって受験で忙しいし」
な「分かったよ!」
これが俺と渚の最後の会話だった
最後くらい俺の好きだったあの笑顔を見せて欲しかった。
でも、俺があの時一緒に行かなかったからあいつは、渚は、 崖から落ちて死んでしまったんだ
だから俺が渚を殺したんだ。
俺が、俺が、俺が全部悪いんだ。
あの時一緒に行かなかったから…
行ってやっていれば、
笑顔がまた見れたのかな、
それから俺は一人暮らしになった。
高校が名古屋だったから
実家は栃木にあるんだ
あいつの家も栃木にあるんだ
お母さんに、
「行ってきます」
をして出た家はもう遠くて、
渚の家にも
「行ってきます」
をしたけど返事は、渚じゃなくて渚のお母さんがしてくれた
もうあいつは居ないんだなって実感させられた
それから何時間か電車に揺られて
着いた愛知県
それから高校で2ヶ月がたったある日
お母さんから電話がかかってきた
れ「もしもし?」
母「もしもし玲音?」
れ「玲音だけど、どうしたの?」
母「実は、」
衝撃の事実だった
悲しかったし、話さなきゃと思った
言わなきゃと思った…
母「実は、渚くんの家引っ越すらしいの」
れ「え、」
言葉を失った。
渚のお母さんは俺に良くしてくれた。
すごく優しかった。
父も母も俺に冷たくて、弟に付きっきりだったから
だから優しくしてくれて嬉しかった。
本当のお母さんみたいに思ってた。
居なくなっちゃうんだと思ったら辛くなったけど、最後くらい会わないとって思って急いで向かった。
電車に数時間揺られて
やっと着いた栃木
れ「ただいま〜」
家の奥まで届くように言う
母「おかえり」
冷たい母の声
でもしょうがないか
弟は難病持ちだ。
だからしょうがなかった。
1人でいたらいつか簡単に死んじゃうかもってお母さんとお父さんは弟から離れなかった。
俺は幼いときから1人だった。
孤独だったんだ。
渚がいた時は、1人になんてならなかったのにな
なんて考えながら渚の家に向かう
ピンポーン
な母「はーい」
家の奥から声がする
れ「玲音です」
な母「今出るわね〜」
れ「はい」
よく来ていた家なのに緊張する。
なぜだろうか
答えなんて分かってるけど、心の中で問題や問いかけをしていないと心が、痛く苦しいんだ。
な母「いらっしゃい」
渚のお母さんの優しい声がする。
れ「お邪魔します」
な母「はーい」
リビングは沢山のダンボール箱でいっぱいだった。
渚と一緒にお菓子を食べたテーブルも、渚と座ったソファも、何もかもなくなっていて、
あったのは、よく渚が座っていた座椅子だった。
小さな机を出してきてくれて、
そこにお菓子とお茶が置いてあった。
な母「食べてね」
れ「ありがとうごさいます」
れ「話したいことがあって来たんです」
な母「そうなのね」
れ「話していいですか?」
な母「どうぞ〜」
れ「俺、渚が死んだあの日に誘われたんです」
れ「一緒に山に行こうってでも受験があるから無理って断ったんです」
れ「そしたらあいつもういいよって言って引っ込んじゃったんです」
れ「寝てるだけだろうと思って気にしなかったんです」
れ「あんなことになるなんて思わなくって」
な母「私も誘われたのよ」
れ「え!?そうなんですか?」
な母「えぇ」
な母「でもご飯を作ってたから適当に流してしまったの」
れ「でも俺が、」
な母「玲音くんは悪くないよ」
な母「悪いのは私だから」
な母「ずっとあの子たまに変なこと言うから適当に流してしまってたのかもしれない」
な母「だから玲音くんは悪くないよ」
れ「いや俺が悪いんです」
な母「大丈夫ずっと辛かったよね」
な母「でも渚は玲音くんのこと好きって言ってたの」
な母「だから誘ったんだと思う」
な母「玲音くんだけでも生きていてくれてよかった渚の分まで生きてね夢を見つけてそれを叶えてね」
れ「ッ、はい!」
それから俺は疲れもあったのか倒れたかのように寝てしまった。
夢を見たんだ
それは、ずっと昔の夢
俺が孤独で、一人でいた時の夢
れ「やめてよッ!」
いじめっ子2「なんだコイツ〜www」
いじめっ子2「よっわwww」
れ「やめてよぉッ、」
俺は、幼い時から弱くて、良くいじめられていた。
やめてって言ってもやめてくれない恐怖
独りぼっちの恐怖
怖かった
でもその時渚が来た。
どうせいじめられるって思ったけど渚は、いじめてくること無く優しくしてくれた。
嬉しかった。
初めて恋をした瞬間だった。
でも渚は、女の子だと思ってたのに男の子だった。
叶わぬ恋だった。
けど、渚もまた俺の事を思ってくれていた。
嬉しかった、けど同時に悲しかった。
告白しとけば成功したのかな、なんて考えたりもした。
怖かったんだ。
ずっと逃げてただけだった。
1人になるのが怖くて。
またいじめられるのが怖かった。
それでも渚は俺をいじめることは無かった
そんな時目が覚めた、
れ「ハッ!」
な母「おはよう」
優しい渚のお母さんの声
れ「おはよ、うございます」
な母「良くない夢を見ていたの?」
れ「そうです、」
な母「どんな夢か聞いてもいい?」
れ「はい」
れ「俺昔から独りぼっちだったんですよ」
れ「それから幼い時から弱くてよくいじめられていたんです」
れ「渚もいじめてくるだろうと思ったけど渚は優しくて、いじめても来なかったんです、だから俺は渚に恋をしたんです初恋でした」
れ「でも渚は男の子で、叶わぬ恋でした、」
な母「そんなことないんじゃないかな?笑」
な母「渚も玲音くんのこと好きって言ってたよ?」
な母「告白しても男同士の恋は認められないけど、でも内緒で付き合うことはきっとできたし、私はそれを認めるよ」
な母「今からでも遅くない」
な母「渚の仏壇はあそこにあるよ」
れ「ありがとうございます、」
渚の仏壇前
れ「渚?」
れ「俺渚が好きだ」
れ「もう遅いよな笑」
れ「でも俺は渚が好き」
れ「世界で1番だ!」
な「もぉ〜!遅いよぉ〜!
僕ずっと待ってたんだよ?その言葉を! 」
な「ありがとう僕も大好きだったよ」
れ「え、渚?渚なのか、?))泣」
な「そうだよぉ〜笑僕も大好き」
な「だから付き合ってくれますか、?」
れ「もちろん))泣
絶対幸せにするから
姿が見えなくても幸せにするからね))泣」
な「よろしくね笑」
れ「こちらこそ))泣」
れ「また笑顔を見せてくれるか?))泣」
な「もちろん笑」
な「ほらこっち向いて?」
れ「見るよ、見る))泣」
な「玲音大好きだよ))ニコッ」
れ「ありがとう渚))泣」
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