コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
俺は無心で絵を描いていた。
ひと段落つくと、ふっと息を吐いて椅子に座る。
最近、帆乃さんの様子が変なんだよな…
俺が目を合わせようとすると、なぜか照れて横を向いてしまう。
まあ、そんなところも可愛いんだけど。
頬を指で軽く掻きながら、思わず小さく笑ってしまう。
そのとき、スマホの通知音が静寂を破るように部屋に響いた。
反射的にスマホを手に取り、画面を覗き込む。
「誰からだろう…?」
少し眉を寄せ、軽く息をつきながら画面をタップする。
そこには——
『もし、よかったら私の幼馴染と会ってみない?
私だけじゃなくて、もっとクラス内に知り合いがいた方が学校に来やすくなるかなって思って。
どうかな?』
……!
ちょうど帆乃さんのことを考えていたからか、心臓が一瞬跳ねた。
スマホを握る手に少し力が入る。
帆乃さんの言う通り、クラスの中に知り合いは何人かいた方がいいに決まってる。
でも、幼馴染って…
もし男だったら——
胸の奥がざわつく。
画面を見つめながら、深く息を吐いた。
それで、俺は何度もメッセージを打っては消し、悩みに悩んだ末にようやく返信をした。
放課後、私はスマホの画面と睨めっこをしている。
画面を見つめながら、小さく唇を噛む。
「むむ…」
「帆乃、帰らないの?」
どこからか、蓮花の声が聞こえた。
少し顔を上げると、私の顔を覗き込んでいた。
「如月くんからの返信待ってるの」
「ああ、あの件ね」
「じゃあ、待ってる間、俺たちが退屈しのぎになってやるよ」
いつの間に来たのか、凪が如月くんの椅子を寄せて私の隣に座った。
「いいわね!雑談しましょ」
それから、3人でたくさん話をした。
学校のこと、くだらない話、そして如月くんのことも。
「もう時間ね」
「そうだな。そろそろ帰るか」
2人は素早くバッグを手に取り、ドアの前で振り返る。
「わわ!2人とも早いよ!待って〜」
慌てて帰る支度をしながら、私は半泣き状態だ。
「大丈夫よ。ちゃんと待ってるから」
そう言って蓮花は、わずかに眉をひそめながら微かに口元を緩めた。
廊下に出た瞬間、スマホが震えた。
「あ!如月くんから返信きた!」
「何てきたんだ?」
「蓮花たちと会ってみるって!」
「ふふ、楽しみね」
「そうだな」
2人は満足そうに微笑み、私の頭を優しく撫でた。
私はスマホをぎゅっと握りしめ、胸がじんわりと温かくなるのを感じた。