このところ仕事が忙しかったこともあって、彼女とプライベートで会うのも久しぶりだった。
前に会った時には、スパに行きたいと彼女は言っていたが、僕の疲れを癒そうとしてくれているのだろうことは、手に取るようにわかった。
それはもちろん嬉しかったが、もう少しわがままを言ってくれてもいいのにとも思う。
忙しい僕をねぎらうだけではなく、彼女自身の行きたいところに連れて行ってほしいとねだったり、もっと会いたいと甘えてもらっても、正直構わないのにと考えていた。
僕自身に気をつかう前に、彼女自身が満たされて幸せでいてほしいと、心から感じていた。
今日は、どうしようか……。
せっかくの久しぶりのデートなのだから、僕の方から彼女が喜びそうなプランを出してみようか。
だが、どんなことなら喜んでくれるんだろうか? いつもこちらを優先してくれていたこともあって、向こうがどうしてほしいと感じているのかが、とっさには思いつかなかった。
あまり自分の望みを口に出すような子でも、ないしな……。
けれど、だからこそ、望みを叶えて、びっくりさせたかった。
出かける準備をしながら、どうしたらいいのかを、僕はひとり悶々と考えていた──。
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