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阿炎快空
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阿炎快空
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阿炎快空
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「ガイド?」
「ああ、そうさ。お兄ちゃん達、この街は初めてだろ?悪いことは言わないから、俺様にまかせておきなって。この境界街を知り尽くした俺様によお」
境界街、というのがこの都市の名称らしかった。
「それで、見返りは?」
蒼梧の問いかけに、クマは体を揺らして笑った。
「いらねえよ、そんなもん。あくまで善意のボランティアさ。昔から、困ってる奴は放っておけないタチでねえ」
「……どう思う、修?」
「うーん……正直、かなり怪しい」
僕の率直な感想に、ありゃりゃ、とクマがわざとらしくずっこけた。
しかし、コミカルな仕草でも胡散臭さは隠しきれない。
「ま、信用できないっていうなら仕方ねえけどよ……本当にいいのかい?」
警戒する僕らに対し、いやらしい声音でクマは続けた。
「ここらはまだ治安がいい方だが、みんながみんな俺みたいに優しいわけじゃあねえぜ?お兄ちゃん達だけで、この街をうろうろするのは危険だと思うがねえ」
フン、と蒼梧が鼻を鳴らす。
「アンタがいれば、安心だってのか?」
「そいつは目的地次第さ。お前ら、一体どこに行きたいんだ?おおかた、元の世界へ戻る門ってとこだろうが——帰る前に、歓楽街で人魚といいことしてくかい?」
だったらいい店知ってるぜぇ——下卑た声で笑うクマに、蒼梧が言う。
「探してるやつがいる」
「おっ、人探しか。なんて名前だ?」
「〝宵闇〟の魔女とかいう——」
と、蒼梧がその名を告げるやいなや、
「ヒイイイッ!?」
クマはぴょん、と飛び上がったかと思えば、今度はじりじりと後ずさりを始めた。
「お、お前ら……アイツと関わりがあるのか……!?」
「ああ、知り合いが攫われてさ。俺たちはそれを助けに――」
「いや、いい!喋るな!それ以上聞きたくねえ!」
クマは両手を前に突き出し、ブンブンと激しく首を振った。
腹からはみ出た腸が揺れる。
「くそっ!丁度いいカモだと思って近づいてみりゃあ、とんだ厄ネタじゃねえか!適当に騙くらかして、奴隷商人にでも売り飛ばしてやろうと思ってたのに——まさかの〝宵闇〟絡みかよ!」
蒼梧が、口調を強めてクマを問い詰める。
「お前、あの魔女のこと何か知ってんのか?」
「し、知らねえ!俺は、何にも知らねえ!」
クマは踵を返すと、タッタッタッタッタッ——とその場から逃走した。
「あばよっ、餓鬼ども!」
「……」
「……」
僕と蒼梧は無言で顔を見合わせた後——クマの後を追って、猛ダッシュで駆け出した。
「——ふっざけんな!何で追いかけてくるんだよおっ!」
「お前が逃げるからだろうが!」
前方を走るクマの背に、蒼梧が怒鳴り返す。
歩幅が小さいくせに、異様に素早い。
僕らは、街の入り組んだ裏路地を走り回っていた。
ビルの間の細い道には、室外機がびっしりと並んでいた。
地面にはガラス片や注射器、そして見たことのない奇怪な小動物の死骸などが転がっている。
「別に、案内はいいからさ——アイツの——魔女の居場所だけでも教えてよ!」
息を切らしながら叫ぶ僕だったが、
「冗談じゃねえ!どこで誰が聞いてるかもわからねえんだ!てめえらに肩入れしたなんて思われたら、俺はお終いだぜ!——オラアッ!」
クマはさらに加速すると、角を曲がって姿を消した。
「蒼梧——僕はいいから——アイツを——」
蒼梧が本気を出せば、クマに追いつくことも可能だろう。
しかし。
「こんなとこに、お前一人置いてけないだろ!」
蒼梧の言葉に、僕は心の中で歯噛みした。
確かにその通りだ。
蒼梧の立場なら、僕も同じ判断をするだろう。
やはり僕が、蒼梧の足を引っ張っている——
「修、どっちだ!?」
角を曲がった先は、更に二手に分かれていた。
今は自己嫌悪に陥っている場合ではない。
僕は目の前のT字路に、全神経を集中した。
「たぶん——右っ!」
勘を頼りに、ギリギリで叫ぶ。
先行する蒼梧を追って右折した僕は、急停止した蒼梧の背中にぶつかり、その場に尻餅をついた。
(ちなみに、蒼梧は身じろぎもしなかった)
「うわっ!?——何だよ、急に——」
立ち上がり、蒼梧の肩越しに進行方向に目をやる。
——そこに広がっていたのは、世にもおぞましい光景だった。
コメント
1件
わあああ第32話読み終えたよ〜!!😭💕 ぬいぐるみのクマ、最初は胡散臭いけど親切なのかと思いきや「奴隷商人に売ろう」って本性ダダ漏れじゃん!でも「宵闇の魔女」って名前だけでビビって逃げ出すの、逆にどんなやつなんだよ怖すぎる!! 修が「僕が足引っ張ってる」って自分責めるシーン、胸がギュッてなったよ…。でも蒼梧が「お前一人置いてけない」って言うのがもう、信頼感じて尊すぎるんだが?!最後の「おぞましい光景」ってなんだよ!続き気になりすぎて今夜眠れない〜!!😭🙏 次回も全力で待ってるからね、阿炎先生!✨