屋上の戸を開けると、元気にそう話しかけられる。
最期は誰とも関わりたく無かったが、圧に負け相槌を打ってしまう。
どうすべきか悩んでいると彼女が話しかけてきた
「君も、飛びに来たんだよね?」
疑問と共に、どこか同士を探すようにして、彼女は聞いてくる
さっさと事を済ませたかったが、『最期ぐらい』話しても、と思い話を始める
「はい『も』ということは、あなたもですか?」
「そう!一緒だね!」
最期とは思えない健気さに、少し引いてしまう
「もし良かったら、理由を聞いても良い?私も話すからさ!」
理由を聞かれるとは想像していなかった為、少々考えていると、困っている私を見兼ねてか世話が耳に通る
「嫌なら全然いいんだけど!私が先に話した方が良かったかな?」
少しそっちの方が気分的に楽そうだったので、先に話してもらうことにした
「了解!じゃあ、話すね」
そう言うと、先程までの健気さは跡形もなく消え去り、孤独に塗れた雰囲気が彼女を纏っているようだった
「私は、人が大好きなんだ、男も女も関係なく、恋愛感情もあったかもしれないけど、本当に人間が好きなんだよ」
最初から感じていたが、彼女の姿は控えめに言っても良く、『容姿端麗』という言葉がすっぽりと当てはまるようだった
「でも、向こうは良く思わなかったみたい、男子と話してれば女子から『男たらし』と言われ、女子に話しかけようとすれば『男と話しておけば』って感じで嫌悪されちゃって、しまいには校内でその噂が広まっちゃって、そのせいで男子も話しかけてこなくなっちゃって」
居場所がないんだ
どこか、私は親近感を感じていた、ああ、そうだ、私と似てる、今までの事がフラッシュバックしてる感じがする。俯瞰とはまた違うのかもしれないが、似たものを感じた
気がつくと、私はしょっぱい涙を流していた、見かねた彼女がどこからかハンカチを取り出すが、私は受け取らずに袖で拭った
「辛いこと思い出しちゃった?!ごめん!」
確かに辛かった、思い出したくなかったが
「いえ、大丈夫です。少し理由が似ていて、申し訳ないですが嬉しかったんです。同じ理由で最期を迎えようとしている人が居て、本当にごめんなさい。」
「じゃあ、安堵の涙ってこと?」
そう聞く彼女に向かって、小さく首を縦に振る
その瞬間、彼女が私に向かって抱きついた
突然の事で狼狽えたが、私のお腹の方から小さく聞こえる彼女の泣き声にはっとし、そっと彼女の頭に手を置いた、腰に付いている彼女の手がギュッと強く締まる、シャツにシワが付くことなどどうでもよかった、私も、また、拭った涙が、また、溢れ出してきた。
どれほど時間が経っただろうか、ふと空を見上げると綺麗な夕日が沈んでいく、ノスタルジーを感じる、そして、彼女の方に目をやると、彼女もまた、夕日を見ていた。
「綺麗だね」
「そうですね」
じゃあ、と立ち上がった
それに沿うように私も立ち上がる、少しふらつくが、彼女が支えてくれる
私も彼女を支える、背に手を置く
そして
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