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おらふくんとの集合場所に立つ。
あの後、2人とも生き残る方法を考えた。
そ の時、2つの方法が思い浮かんだ。
1つは周りに手回しをする作戦。
今まで場所や時間は変えてきたが、おらふくん以外の人、例えば前回僕を引いたトラックの運転手などに干渉すれば助かることができるかも知れない。
もう1つはひたすらそばにいる作戦。
いや、そばに居るというかくっつく?
勘違いしないで欲しいが別にただくっついていたい訳では無い、まあ嫌ではないが。
理由としては前回以外今まで”自分”は死んでいないのだ。
まるで狙ったかのようにおらふくんの命だけを奪っていく。
だからずっと自分が密着してれば助かるのではないか、と思ったのだ。
決して役得だとは思っていない。
、、、話を変えよう。
決して生き残れる確信は無いけど、挑戦しないよりかはマシだ。
今回は後者の密着作戦をする。理由は、そっちの方が楽だから。
これがダメなら、次でやればいい。
、、、違う、「次で」やるってなんだ。
今日で終わらせるんだ。
自分が当然のように次があることを信じきっていることにぞっとした。
自分の思考が気付かぬうちに飲み込まれている、それが怖い。
「わっ!驚いた?、、、おんりー?」
はっと気づいて前を向くと自分を驚かせようとしたのか変なポーズで固まっている。
「ワーオドロイタナー」
「棒読みすぎるやろ!もー!」
怒りながらも笑顔なおらふくんを見て思わず自分も顔がほころんだ。
やっぱり安心する。
「、、、ね、手繋いでもいい?」
あああ恥ずい!自分で言うとこんななのか。なんでおらふくんは平然とこういうの言えるんだ。
自分はこういうこと言わないタイプなので羞恥心がやばい。
案の定おらふくんは目を丸くして驚いてから笑った。
「おんりーがそういうの言うん珍しいな!もちろんええで!」
差し伸べられた手を取る。
優しい温もりに包まれる。今は夏だけど、その温かさが気持ちよかった。
その時、悲鳴が聞こえた。
すごくいやな予感がした。
「行こう、おらふくん」
「、うん」
騒ぎとは反対の方向に手を引く。
きっと優しいおらふくんは悲鳴を聞いて心配しているのだろう。
でも僕はそんな優しさなんてない。今はおらふくんが最優先だから。
自分は冷たい人間だ。
「急に手引っ張ってごめん、、、ね、、」
振り返って呆然としてしまう。
自分の手を握るおらふくんのすぐ後ろにこちらに向かってくる人影が見える。
その手には夏の日差しを反射してきらりと光る刃物が握られていた。
通り魔だ、と頭が遅れて認識する。
「んや、全然平気やで、!?」
手を引っ張る。
逃げられない。距離が近すぎる。
ならば。
おらふくんをギュッと抱きしめる。
「へっ、ちょ」
まだ状況を理解出来ていないおらふくんの戸惑った声の後、鋭い痛みが背中に走った。
「いッ、」
血が流れていくのがわかる。
心臓の鼓動が異様に早い。
死ぬな、と冷静に思った。
結局この作戦も失敗。抵抗は無意味だったみたいだ。
「おんりー、?ねえ、どうしたん?血が流れてるよ?」
震える声で必死に言葉を紡ぐおらふくんの頬にそっと手を添える。
ごめんね。
地面に落ちた涙は血と混ざって消えた。