35日目
今日は杏とカフェに行ったんだ~!
すっごく楽しかったし、美味しかったよ!!
また行きたいな~っ!
まぁ、ハプニングはあったけど……、
あ、後…ね……?
杏まで、何か急に心配しだしてさ…どうしたんだろ?
それにそんなにボク、顔に出てるかな~⋯。
あんまり出さないようにはしてるけど、
案外バレやすいのかもね……笑
まぁこの日記さえバレなければボクはそれで、いいかな⋯。
瑞希
待ち合わせ場所に着くと私は辺りを見回す。
土曜日だからか人が多く、いつもより賑やかな街。 そんな街の空気や雰囲気に見とれていると、瑞希が来た。
「ごめん、お待たせ~!! 」
レースが沢山付いているピンク色のワンピースを着て、首にはピンク色のチョーカーを。
靴は薄ピンク色のヒールを履いていて、
凄く可愛かった。
『ううん、私も今来たところ!!
……それと、すっごい可愛いね!?』
「えへへ、そうかな……ありがと!」
少し恥ずかしがりながら瑞希は私の手を引く。
「今日紹介するカフェはね?
大通りから逸れた、路地を入っていくんだけど……すっごい穴場なんだ!」
『へ~!そうなの?楽しみ!!』
「ふふっ、付いてきて!」
瑞希と私は路地を縫うように歩き、
何分か歩いた頃、オシャレな建物が見えてきた。
「じゃーん!ここでーすっ!」
『わ~…!すごい!!』
「さ、入ろ入ろ!!」
カランカランと綺麗なベルの音がした後、
可愛い制服を着た店員さんがおで迎えしてくれる。
〖いらっしゃいませ、何名様ですか?〗
「2名です!」
〖かしこまりました!お席へご案内致しますね!〗
ニコッと微笑む店員さんに見とれながら
私と瑞希は奥の席へ案内される。
〖ごゆっくりどうぞ!〗
『雰囲気も良いし落ち着く~⋯』
「あはは、でしょ?杏ならそう言うと思ったよ!」
瑞希はふふっと微笑むとソファにもたれかかる。
店内はゆったりとした雰囲気が漂い、程よい冷房が掛かっていた。
机は薄茶色で、ソファはクリーム色。
壁にはオシャレな草?が掛かっており、レジ付近のレコードからローファイ・ヒップホップが流れていた。
瑞希はメニュー表を私に見えるように見せると、「どれにする~?」とニコニコしながら言っていた。
……到底そんな瑞希が65日後に自殺するとは思えなかった。
…絵名さんから聞いた、瑞希の日記の事。
聞いた時は嘘なんじゃないか、って思ったけど…本当らしかった。
夢の事もあり、正夢には……したくなかった。
だから少しでも瑞希が生きたいと思わせる為に今日もカフェに瑞希といる訳だし…なんて思っていると瑞希がジーッと私の方を見つめているのに気付いた。
『……えっと、、瑞希?』
「…杏、決まった?」
『あ、えっと…ちょっと待って!』
私は急いでメニュー表を隅々まで見渡すと、
良いメニューを見つけた為、それにする事にした。
「すみませーん!」
〖はーい 〗
「えっと、これとこれと……」
〖お待たせしました!
ポテトバーガーセットとハムハムサンドイッチセットです!ごゆっくりどうぞ!〗
「ありがとうございます!」
『わ~美味しそう!』
「『いただきまーす!』」
はむっとサンドイッチを1口かじると、
シャキシャキのレタス、柔らかくて美味しいハム、美味しいソースが口の中に溢れる。
『ん~美味しい!』
「だね!」
名前が可愛くてついつい頼んじゃったけど
正解だった!!
レモンティーを1口啜り、瑞希の方をチラッと見る。
瑞希は美味しそうにポテトバーガーを食べ、
無邪気に笑っていた。
……そんな瑞希に、死んで欲しくなんか無いと凄く思った。
〖またのご来店をお待ちしておりま~す!〗
カランカランとまた綺麗なベルの音を聞きながら、
カフェを後にする。
『すっごい美味しかったね!』
「うんうん!」
『やっぱここは穴場だね~』
なんて言ってると、髪に水が滴る。
『……え、?』
「え…雨だ!!」
『嘘でしょ!?傘なんて持ってないよ…!』
「と、とりあえず……あっちに…!」
瑞希が水溜まりをびちゃびちゃ踏んで走っていく。
『ちょ…ちょっと待ってよ……!』
瑞希を追いかけた先は、小さな公園?みたいな所だった。
ただ白いベンチがポツンと置いてある、とても小さい公園だった。
その公園の真ん中で瑞希は座り込んで、俯いていた。
『み、…瑞希……?』
バッグを傘代わりにしながら瑞希に駆け寄る。
「……」
『瑞…希……?』
「……で」
『…なんて、?』
「……恥ずかしいから見ないで…!!/// 」
『……どういう事!?』
瑞希は頬を赤らめながら、バッグで胸あたりを隠す。
「……っ、透け…ちゃって…///」
『……な、成程…///』
お互い気まずい空気になり、私は着ているジャケットを瑞希に手渡した。
「あ、ありがと……」
瑞希はジャケットを着て、ベンチに座った。
『どういたしまして…?』
私もベンチに腰掛けると、いつの間にか雨は止んでいた。 天気雨だったのかな
『……落ち着いた、?』
「うん…ごめん、取り乱して……」
『大丈夫だよ!!』
『大丈夫になったのなら、帰ろっか』
「うん……そうだね!」
瑞希はすっかり笑顔になり、レースのスカートを揺らしていた。
「……ありがとう、杏」
瑞希は小さく呟くと先にカフェの方へ戻ってしまった。
『瑞希……』
瑞希は…絶対に、死なせないから。
コメント
8件
メニュー名からこはね愛を感じる… 杏ちゃんカッコいい…!!
ハムハム=こはね…え、食べたi((((((((