ロメはマンションのドアの前に立ち、深呼吸した。
サッと開けて入っていけばいいのだが、なかなかその勇気が出ない。
「落ち着け私……。部屋に入って、ルチオさんへ『心配かけてごめんなさい』って言うだけなんだから」
マンションの廊下でブツブツと呟いているロメを、出勤途中であろうサラリーマンが気味悪そうに避けて通り過ぎて行った。
「(うっ、朝からマンションのドアを凝視して立ち尽くす女って、傍から見ると危険人物!? ヤバい、ぐずぐずしてると警察を呼ばれてしまう……)」
覚悟を決めて、ドアを開くと玄関に滑り込む。
家の中はしんとしていた。
「あれ? 今、玄関の鍵開いてたよね……?」
ロメは首を傾げた。いつになく乱暴に転がった靴のなかに、ルチオのワークブーツがない*******
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