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ダラダラと何もしていないと時間はどんどんと過ぎるものだ。おかげでもう夏休みが終わってしまったことが信じられないでいる。毎年この時期は大学の学園祭の気配が濃くなるのもあって皆浮足立っている。まあ、「みんな」というのも大学生活を目一杯楽しんでいるいわゆる陽キャたちばかりだ。模擬店だのカフェだの本当に人生が楽しそうで何より。私の所属するお茶サークルは少しお抹茶を振る舞うもののほとんど仕事はないし大方ヒマなのだ。そんな季節の変化も気にせず今日もいつものカフェでコーヒーをのみながらイヤホンをつけて最近のお気に入りの曲をかける。

「紫雨ちゃん。なに聞いてるの?」

曲に夢中になっていた私は密かに隣りに座ってきたひとに全く気づかなかったのだ。

「ひゃっ!!は、晴陽さん?!」

「紫雨ちゃんびっくりしすぎ。さっきから口ずさんでた曲がなんか可愛かったからさ。」

気づかずに曲を口ずさんでしまっていた自分が恥ずかしくて目をそらす。対してうまくもない私の歌を聞いてほしくはなかった。晴陽さんにはとくに。

「えっと、最近はやってる曲で結構好きなのがあって。」

「えーいいね。私も聞いてみようかな。」

会話は終わったかのように思えるのに晴陽さんは一向にどこうとせず私の隣に陣取っている。正直なことをいうと私は晴陽さんと海に行ったときに羽目を外しすぎたような気がしているのだ。絶対にいつも言わないようなことをいい、絶対にいつもはしないようなことをした気がする。それ故に晴陽さんに変に思われていないかと考えていたらなんだかこの状況が少しばかり気まずいのだ。

「紫雨ちゃん『きまずい』って顔してる。」

どうしてわかるのだろうか。たまに晴陽さんはエスパーなんじゃないかと本気で思う。顔を向けると晴陽さんは得意気にこっちを見ている。ふふふっと笑ったずらっぽい顔もかわいい。さすがは晴陽さん。

「紫雨ちゃんってお茶サークルなんでしょ?私達学祭で和風喫茶やろうと思ってるんだけど一緒にやろうよ。」

「え、いやいやいや。私明るくないしそういうのあんまりやったことないし。第一晴陽さんのお友達はきっと私なんかとやりたくないって。」

「卑屈だな〜。この前の紫雨ちゃんはどこに行っちゃったんだか。『晴陽さんは自分の光がわかってないんだよ』って言ってたのにー。」

「いや、ちょっ。あれは…」

「大丈夫だよ。今メンバー二人しかいないし絶対歓迎してくれるような人だからさ。」

そうして私は半ば強引に晴陽さんとまだ知らないもう一人のメンバーさんと和風喫茶をやることが決まったのでした。

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