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「第二幕 第五章 王女の涙、刃の雨」
兵士たちが波のように押し寄せる。
ラシードは槍を振るい、あなたとセレスティアは左右から援護する。
赤い水晶灯の光が刃に反射し、まるで血の雨が降っているかのようだった。
「ラシード! 王女を!」
セレスティアが叫ぶ。
彼は刃を弾き、一直線に壇上へと駆け上がった。
軍服の男が剣を構え、ラシードの行く手を遮る。
「護衛隊長殿。お帰りを歓迎しよう」
「その口を閉じろ!」
激しい火花が散る中、あなたは兵士の一団を引き付け、セレスティアは星の輝きを放つ短剣で背後から援護する。
だが、壇上では別の戦いが繰り広げられていた。
アミーナ王女はラシードを見つめ、唇を噛んだ。
「来ないで……私は――」
「お前を置いていけるか!」
「違う! 私は……民を守るために、ルナと契約したの!」
その声は、剣戟の音を突き破って響いた。
「この国は干ばつで滅びかけていた。ルナは水を与える代わりに……私を人質に取ったの」
ラシードの手が一瞬止まる。
その隙を突き、軍服の男の剣が彼の肩を裂いた。
「ぐっ……!」
鮮血が床に散る。
だがラシードは倒れず、槍の柄で相手の顎を打ち上げた。
「それでも……俺はお前を救う。契約なんか、俺たちが叩き壊してやる!」
王女の瞳から、抑えていた涙が溢れた。
「……ラシード……」
その瞬間、セレスティアの声が響く。
「今! 壁を破る!」
星の光を帯びた短剣が柱を裂き、外光が大広間に差し込む。
光を背に、あなたたちは王女を奪い、宮殿からの脱出へと走り出した――。