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※少しややこしい心理の分析を書きます。日下部の名誉のためにも汗
伝わるかなぁ……
■ なぜ、日下部は「声を出した方が遥を壊す」と感じたのか
これは「事実」ではなく、日下部の主観的な判断(誤解を含む)です。
その根拠は、主に以下の3点に集約されます。
① 遥が「誰かに見られる」ことを極端に恐れていたから
日下部は知っている。
遥は、自分の弱さや感情、欲望を「他人に知られる」ことを、恐怖に近い拒否反応として示していた。
目を合わせるのを避ける
優しくされると反射的に拒絶する
「見んなよ」と泣きながら叫んだ
そのため、「自分(日下部)が声を上げる=遥に気を遣った・気にかけた」という行為が、遥を“晒す”ことに直結すると感じた。
遥の目線からすると。
「自分を守ろうとする手」にすら、「憐れみ」や「同情」や「優越」を読み取ってしまい、自壊してしまう。
② 蓮司の「劇場」が遥に向けられたものだと、日下部は理解していたから
蓮司は明確に遥に見せるための嘘芝居をしていた。
日下部は、その意図を察していた。
だからこそ、「声を出すこと」は蓮司の劇に乗ることになる
逆に、「黙ってやり過ごせば、火はこれ以上燃え上がらない」と信じた
▶︎ 「耐えることで、遥を守れる」と信じてしまった。
③ 自分が「加害されたこと」を騒ぐことで、遥をより追い詰めてしまうと感じたから
これは日下部の“やさしさ”と“おそれ”が混ざった判断です。
声を出せば → 「自分が被害を受けたこと」が明白になる
遥はそれを見て → 「自分のせいだ」と感じるだろうと、日下部は考えた
結果として、「黙っていれば、遥は傷つかずに済む」
そう信じて、沈黙を選んだ。
■ けれど、実際に壊れたのはどっちか?
結論:沈黙の方が、遥を壊した
遥はこう思った。
「自分が欲しかったから、日下部がああなった」
「俺が見てたから、蓮司はあんなことをした」
「それでも、日下部は拒否しなかった」
「俺じゃない誰かには、触れられるんだ」
つまり、日下部の沈黙は「肯定」として受け取られた。
拒絶のない沈黙が、「許した」と見えてしまった。
遥はこう思い詰める。
「日下部は俺のせいで壊された。だけど、それを拒否もしない」
「じゃあ俺は……もう、何も言えない。触れられない」
「俺が、壊したんだ」
■ 本当に「声を出していたら」どうなったか?(普通、こうする……)
蓮司の手を払い、強い拒否を示す
「やめろ」と怒鳴る
遥の存在に気づいていても、「遥のために」怒ったことが伝わる
▶︎ これは遥にとっては「救い」になる可能性が高い
遥は、“あの静寂が自分のせいで起きた”と思い込んでいる。
その構造を壊すには、“自分とは無関係な声”が必要だった。
■ 結論として整理:
・日下部視点での判断
声を出さない理由:遥を守るため/劇に乗らないため/自分で収めたかった
結果:守ったつもり
代償:自責・誤解・距離の決定的な断絶
・遥にとっての現実
声を出さない理由:無言の肯定=「日下部は壊されてもいい」
結果:遥を壊す最悪の沈黙
代償:自己嫌悪・罪悪感・「俺が壊した」の確信
これは……遥の心理が今までややこしかったからそれを理解しようと日下部が頑張った結果でもある、と思う。
日下部の理解をはるかに超えて歪んでいる遥。
でも、ま、今回は日下部がややこしくなってるか……。