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本社ビルを出ると、夜の風が二人を包んだ。
昼間の緊張が嘘のように、街の灯りは穏やかに瞬いている。
「……ふぅ」
華は胸に手を当て、大きく息を吐いた。
「怖かったけど……ちゃんと伝えられて、よかったです」
律は隣を歩きながら、横顔に視線を向ける。
「ええ。桜坂さん、本当に強かったですよ」
「……律さんが一緒にいてくれたからです」
華は小さく笑みを浮かべ、俯いた。
律は足を止め、ゆっくりと彼女を見つめる。
「これからも、一緒に乗り越えていきましょう」
その言葉に、華の胸が熱くなる。
「……はい」
夜風の中で交わされた約束は、静かに二人を結びつけていた。