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深夜2時、病室の窓から音が聞こえる。
“コンコンコン”
「ん…」
私は物音で起きた。
(なんだろう…?)
カーテン越しに黒い影が見える。
「泥棒…?」
ってわけではなさそう。だって泥棒なら、静かに入ってきてるだろうし…
(もしかして…いや、そんなわけないよね)
一瞬拓馬くんが来たのかと思ったけど、ここは4階。きっと何かが人影に見えただけ…
“コンコンコン”
「…ってわけでもなさそうね」
私はカーテンを開いた。何故か開けても大丈夫という安心感があり、私は気を緩めていた。そして、窓越しに見えた光景に目をみはった。
「…………はぁ?」
窓の外にはいるはずのない彼。
『やっほー』
と、口をパクパクさせている。私は働かぬ頭を無理に回して声を張り上げた。
「な、なにしてるの!?」
すると彼は器用にも手をひらひらと振った。
(いや、ここ4階なんですけど!?)
もはや人間じゃないとさえ思える馬鹿な行動に私は逆に冷静になった。鍵を開け、窓を開いた。彼は笑いながら言った。
「ヒーローみたいでしょ」
楽しそうに笑いながら、病室へ入ってくる彼に言った。
「こんなヒーローはだめでしょ…」
彼はまたヘラヘラと笑いながら答えた。
「こんなヒーローもいいもんじゃない?たまにはね」
「いや駄目でしょ」と、突っ込みたい気持ちを最大限に抑えて私はいった。一番最初に聞きたかったことを…
「どーして来たの?」
彼は当たり前のように、至極当然でしょ?みたいな顔で言った。
「だって僕は君の彼氏だから」
彼…いや、拓馬くんは優しく笑った。
その笑顔は私の不安を吹き飛ばす、陽だまりのような暖かさをはらんでいた。