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タクトがルシファーの空間で追い詰められている中、突然空間の端に光が差し込んだ。
「なんだ?」
ルシファーが眉をひそめる。
「おーい、タクト! 生きてるかー?」
その声は、どこか馴れ馴れしい響きを持っていた。
空間を割って現れたのは、純白の翼を広げた男――ミカエルだった。だがその姿は威厳よりも間抜けな雰囲気をまとっている。
「お前、ここで何してんだよ! 俺がいないと、何もできねえだろ?」
ミカエルはタクトに向かって軽く手を振り、にやりと笑う。「待て、ここは私の異能の空間だ。」
ルシファーが冷たく言い放つ。
「他者の干渉は許されないはずだが?」
ミカエルは肩をすくめて答えた。
「まあまあ、細かいことはいいじゃないか。お前の空間がちょっと狭いだけで、俺には入れたよ。」
「つまり、お前はルールを無視したというわけか。」
ルシファーの目が鋭く光る。
「いやいや、ルールにはちゃんと従ってるぜ。」
ミカエルは道端の横断歩道を指さしながら言った。
「ほら、手を挙げて渡ったしな。」
ルシファーの表情が一瞬引きつる。
「…くだらない真似を。」
「しかし、懐かしいな、ルシファー。」
ミカエルが翼を広げて上空に舞い上がる。
「俺たちがこうして面と向かうのは、いつ以来だっけ?」
「お前が私を裏切った時以来だ。」
ルシファーの声にはわずかな怒りが含まれていた。
「愚か者どもに味方し、天界の秩序を壊したお前に言われたくない。」
「まあまあ、そんなに怒るなって。」
ミカエルは軽く笑って、タクトに目を向けた。
「こいつ、意外と頑張ってるじゃないか。ちょっと助けてやるか。」
「貴様の助けなど不要だ!」
タクトが苛立ちを隠さず叫ぶ。
ルシファーが冷静に言い放つ。
「この空間では、私が絶対だ。たとえお前が天界の武将でも、私には勝てない。」
「それはどうかな?」
ミカエルが軽く指を鳴らすと、空間にまた新たな変化が起きた。
突然、標識や信号機が淡い光に包まれ、次々と消えていく。
「なんだこれは?」
ルシファーが目を細める。
「俺の力さ。」
ミカエルが自信満々に言った。
「俺の異能『自由』、束縛された空間を無効化する能力だ。」
ルシファーの空間が一時的に崩れ、タクトは息をつく。
「助かった、とは言わないぞ。」
タクトが冷たく言うと、ミカエルは笑いながら肩を叩いた。
「いいってことよ。でもこれで、あいつも本気を出してくるだろうな。」
ルシファーは静かに笑みを浮かべた。
「私を本気にさせたのは久しぶりだ。面白い、二対一でも構わん。」
空間が再び歪み始め、ルシファーの支配が強化される。
ミカエルがふざけた口調で言う。
「さあ、タクト。ちょっと俺に感謝してくれるかな?一緒にやるぞ。」
「勝手にしろ。」
タクトは険しい表情を崩さず、再びルシファーに向き合った。