温もり

温もり

※黒青(願望)

※生理男子ネタ

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いたい、いたい。

ずきずきって、ぐりぐりってする痛み。

あまりにも強いそれに、意識を全て持っていかれる。

今日は2日目。俺にとって、1番つらい日。

でも今日は誰かと会う予定もないし、ただの平日。在宅ワークであることが唯一の救いだろうか。

誰かを呼ぼうにも、男なのにこんな生理とか、なんて思われてしまったら俺がもたない。嫌われることだけは避けたかった。

🤪 ｯは…ひゅ、…ぃ”、っ…

あにき、あにきだけは、この事を知っている。

それでも言いづらいことは言いづらいし、何よりも今日、彼は一日中収録だ、とポストしていた為、活動を邪魔する訳にはいかなかった。

先程まで俺もリビングで仕事をしていたが、流石に耐えられなくなってきてしまい、ソファに横になっている状態だ。

🤪 ぁﾞ~も、…どぅしょっｯ、…

平均より少し大きい自分の体を精一杯両腕で包み、できるだけ小さく丸まる。

でもどくどくとした痛みの波は引いてくれることを知らないようで。

どうしよう、痛い、むり…

そんな言葉が脳内を満たしかけていたその時、玄関からガチャリと音が鳴った。

それと同時に聞こえる大好きな人の声。

自然と涙が溢れて、足が動いた。

🦁 うおっ、…まろ？

🤪 ……

ドアの鍵を閉めていたあにきの背中に抱きつく。

すると、びっくりしたと言うように目を見開いて体をこちらに向け、俺を覗き込んだ。

🤪 …っ

ふと忘れていた痛さが戻ってきて、抱きしめていたあにきにぎゅうっと力を込めてしまう。

🦁 …痛いなぁ、つらかったよな

腰付近を撫でてくれる暖かい手。

それだけで痛みが少し和らいだ気がして、力が込められていた手が緩まる。

🦁 とりあえずリビング連れていくで、ちょっと動かすから痛かったら言ってな

いつもよりゆっくりしたテンポで、優しい声で囁くように声をかけてくれるあにき。その声に身を委ねると、ふわりと体が浮く感覚がした。

少しぐるぐるとする目を閉じて、しばらく揺られていると、ふかふかの何かにおろされた感覚がした。

目を開くとソファの上で、あにきがブランケットを持ってきてくれた。

🦁 まろ、俺がおる方がええやろ？ベッドじゃなくてソファにしたんやけど大丈夫？

🤪 …ぅん、…

なんて気が利くんだろう、彼は。

こんなん誰でも惚れてしまうじゃないか。

ブランケットを掛けて、お湯を沸かして、湯たんぽを作って。

それから、ココアも作って、クッションも持ってきてくれて。

🦁 …まだまだつらいやろ、…次は呼んでな？迷惑とか、なんにも思ってへんし、むしろ心配なんやから…

瞼が重くなってきた俺の頭を撫でながらそう呟いたあにき。そっか、別に言っても大丈夫だったんだ。

そう思えば思うほど、落ちてくる瞼の隙間からまた涙が零れた。

🦁 …大丈夫大丈夫。俺もいるから

そう言いながら隣に寝転んで、抱きしめてくれる俺よりも背の低い体。

その優しさに埋もれながら、夢の中へと沈んでいった。

その日感じた温もりは、暖かいじゃ済まないくらいに安心した。

END