ノベル完結
二次創作・夢小説
190
黄昏時
1話から読む赤.side
誰もいなくなった崖をぼうっと眺める。さっきまで見えていたオレンジと青の空の面影は全く見えず、ただ黒に近い、暗闇の空が見えるだけだった。
ま.ろが持っていた、俺が持ってきたものと他メンバーが持ってきた花束を手に取る。それをきちんと崖の端に置き、空になった自分の缶を持った。
そばに置かれたままのま.ろの缶を手に取ると、中身は綺麗さっぱり無くなっていた。
さっきまでそこに、本当にま.ろが居たんだと思うと、どうしても涙が溢れそうになる。
二つの缶は花束の隣にそっと置いた。
それから俺は、わざと大きな声で「よいしょっと」なんて言って笑顔を浮かべた。
「しょうがないなぁ、ま.ろの家、行ってやるか!」
花束を背に、俺は歩き始める。
頬に何かが伝って、地面に落ちたかもしれないけれど、それは無視して。
進む俺らと進めない君。それでも、俺たちの絆も友情も、進み続け切れることは絶対にない。そう言い切れる。
どこにいても、大切な家族。
End.