テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「やっべ! いま何時?!」
朝の仄かに冷たくも暖かい空気はどこへやら、俺が目覚めたの太陽もそこそこに登り切った午前9時半も過ぎた時間。
サァッと顔が青ざめる。今日は首都圏中心地の都市で会議があったはずだ。確か、10時から。急いで準備し、家を出ることができれば10時には間に合わないものの大した遅れにはならないはずだ。吉祥寺から都庁まで、そこまで時間は掛からない。ドタバタと準備をし、都庁にたどり着いたときには既に10時半を過ぎていた。ひぃ、時間に煩い奴らがしつこく小言を言ってきそう。そう思うのもほどほどに、会議室に駆け込む。
「ごめん、皆、遅刻した! ……あ、れ?」
そう言ってドアを開けた俺に飛び込んできた景色は、あまりにも驚きが詰まったものだった。どうして、二人しかいないの。驚きのあまり、声になることがなかった疑問。二人――立川と厚木は俺の姿を確認して1つ安心したような溜息を吐いた。
「…遅い。…でも、来てくれてよかった」
あのさぁ、連絡1つは返してくれたって良くない? と立川は眉を下げて苦笑いをする。スマホを見てみれば、立川から数件、メッセージが飛んできていた。あ、ごめん、言われてから気が付いた。そういう言葉を俺が口に出さなくても行動と顔から読み取ったのか、立川はさらに深い溜息を吐いた。ごめんってば。
それどころじゃない。何があったのか。そう聞くと衝撃的な答えが返ってきた。どうやら、今この場にいない中心都市全員、連絡が付かないらしい。立川は都内の新宿や千代田に何回かメッセージを送ったようだが、既読すらもつかないらしい。埼玉と千葉の方はそれぞれ川越と船橋に連絡を入れたらしいが既読・返信共になし。仕方ないから他を当たろうとしていたところらしい。神奈川の方はどうなの?と聞けば、厚木から以下のような返答をもらった。
「あぁ、大和に横浜を捜索してもらってる。川崎の方は大田か世田谷に頼もうと思ってたんだけど、アイツらも連絡付かないんだよね。だから狛江に頼んだ」
…おいこら、しれっとうちの特別区と狛江を顎で使おうとするな。……ん? どうやら、立川も同じことを考えたらしい。
「…それって、特別区全員に連絡付かないの?中心都市とか関係なく?」
全員かは知らないけど、少なくとも大田と世田谷は、と厚木はあっさりと答えた。立川はスマホを手に取って、恐らく特別区全員にメッセージを送ったんだと思う。…何が起きてるの。
「何が起きてんのかな…はぁ」
スマホを机に置いた立川が頭を抱えたと同時に、厚木のスマホが揺れる。彼はスマホを手に取ると少し眉を上げた。ただ、表情から喜ばしいニュースとは到底思えなかった。
「大和から報告来た。市役所に行ってくれたみたいで、アイツ、今日は出勤すらしてないらしい。今から狛江と合流して川崎の方も見に行ってくれるみたい」
横浜はまだしも、川崎がサボることってないんだけどな、と小さくつぶやく。数秒、沈黙が間を満たす。この数秒の間に、1つこれじゃないかという可能性を見つけた。もしかしたら、三人そろって同じことを考え付いたのかもしれない。
「なんか、事件に巻き込まれたとか?」
「「それだよ/それ」」
俺が1つ思ったことを告げると、二人は同意した。どうやら、考えたことは同じだったらしい。暫定、特別区と政令指定都市が行方不明になっている。普通に考えて、サボりだとしても既読すらつけず、連絡を返さないのもおかしい。考えうるのは、何か事件に巻き込まれた、そのぐらい。とはいっても、あのレベルの精霊たちを巻き込むことができる事件とはなんだ、とも思う。下手すれば、俺たちじゃ到底手の付けようのないことかもしれない。…そうだ、東京さんに報告と相談をしておかないと。
俺が東京さんに連絡を終えたとほぼ同時に、厚木のスマホから着信音が鳴った。小田原だ、と厚木は慌てたようにスマホを手に取った。
「どうしたんですか?」
先ほど聞いたように、通話相手は小田原だろう。…コイツ、小田原相手だと結構猫被るんだな、と新たな事実も発見した。そんなことはどうでもいいけど。
「…マジで?…いえ、こっちは少し行き詰り気味だったので助かりはしましたが…」
厚木の顔が険しくなる。何を聞いたんだろう。
「おれが持ってる情報は特別区と首都圏中心地の失踪です。ただし、おれ、立川、武蔵野は除きます。すべて政令指定都市なので、てっきりそういうことかと思っていました。…そうですね、八王子の所在・安否について確認してもらいます。そうですね、横浜の不在による県庁代理を頼んでも平気ですか? あぁ、どうぞご自由に使って下さい」
「…それは無理ですね。首都機能麻痺の方が大問題です。今三人しかいないので。…こっちの方が落ち着いたら必ず帰ります。海老名と大和、綾瀬のこと、お願いします。少し、荒れると思うので。…はい、ありがとうございます。メッセージの方で結果報告させてもらいますね」
そう言うと厚木は通話を切った。どこか浮かないような、何か思案するような顔をしていた。何かわかったか? と俺が聞くと、厚木は小田原からもらった情報を話し出した。どうやら、神奈川県内で唐突に姿を消したのは横浜と川崎だけではなく、相模原、藤沢、横須賀、座間も、らしい。行方不明の精霊に全くと言っていいほど共通点がなくなってきたため、手当たり次第に調べていくしかなくなった。厚木は八王子がいるかどうかを調べてほしいと言った。そうだよな。
「まぁ、こっちの政令指定都市が全員行方不明となると、中核市の安否も疑うよね。現に横須賀も行方不明なんでしょ」
そう言った後、立川が八王子に緊急連絡を送ったよ、と言う。他の道府県の現状を調べるためにも、厚木は横手と糸満に連絡した。北海道にも伝手があるらしいが、何せあの北の大地は広すぎるため調べてもらうのも厳しい。俺も酒田に山形のことを聞いてみよう。こっちで起きた状況を簡潔に伝えれば、県庁と市役所両方に行ってくれると教えてくれた。どうやら調べてくれるらしい。
そういえば、川越と船橋も連絡がつかないとかだったな。連絡がつきそうなところ、そう考えて熊谷と佐倉に連絡をとってみる。ビンゴ。すぐに連絡がついたため、状況を軽く説明する。どちらも現状を飲み込んで詳しい県内の状況を確認する、と言ってくれた。これで一先ず一都三県の現状を把握することができる。
「はぁ…そしたら仕事も進めなきゃいけないね」
立川がそう言う。その通り過ぎる。俺たちは働かないといけない。今まで以上に。
こんなことになっても首都機能を止めるわけにはいかない。厚木もそう言っていた。俺たちも困るし、人間も困る。今日のところは他と連絡を取りながら状況把握を行い、その傍らメインで書類を消化しなければ。
書類に手を付け始めたころだった。
「あ、そうだ。どっちか今日泊めて」
おれ、しばらく首都圏周りの書類消化するために残るから宿頂戴。厚木はそう言った。…は? 落ち着いたら必ず帰るって発言そういうことかよ。…確かに、俺たちは都の書類もやる必要が出てきたから、そうしてくれるなら本当に助かるけど。宿は聞いてない。
「普通に人間に話し通して都庁に泊まったら?」
いつも都庁にいる社畜は今日いないし、と提案する立川に、あ~と厚木は少し悩む素振りをする。それでいいか、と納得したのか、少し相談してくる、と素早く会議室から去っていく。どうせ数分後には戻ってくるだろう。
今日の書類だけでも片付けなければ。
…少し、不安になる。今後、ずっと行方不明の都市たちが見つからないとしたら。厚木は神奈川の都市だ。落ち着くまで東京にいてくれるとはいうが、いつ神奈川に戻るかわからない。もし彼が帰ってしまった場合、俺と立川だけで東京都をまわせるのか。今の東京都内に頼れる相手は少ない。東京さんが海外出張で不在の時は新宿や品川、板橋といった元宿場町、そして府中が仕切っていた。今残っているのは恐らく府中だけ。つまり、俺たちが頼れるのも府中だけ。きっとこの状況を見れば手を貸してくれる奴ら多いだろう。それは解ってる。けど、このまま続くのは根本的な解決にはならない。やっぱり、失踪の理由を突き止めるのが一番だろう。ただ、今日できることはもう殆どない。明日には、進展があればいいんだけど。
この東京都市圏中心地の一般市組が滅茶苦茶好きなんです…! まだ語りの方で東京にも神奈川にも入れなさそうなのでここでいったん感情爆発させてもらいますね! ほかの中心地が23区や政令指定都市やら県庁やらなのに、この個たちは一般市(厚木は施行時特例市)でありながら彼らに並び立ってる事実が本当に強かすぎて好き…。立川、武蔵野は両者10万人台の都市なのに頑張ってるのが狂おしいほど愛おしい…。きっと都下の皆も彼らの頑張りはしっかりと見て理解しているはずです。
さらに事実として美味しいのが厚木の存在ですよね。本当に強かというか….。彼、相模川を越えた神奈川の西側なのに東京都市圏の中心地をできてるんですよ。その求心力はどこから来てるんですか。大和も海老名も近頃頑張ってるなぁって印象を受けるし、実際想像の数倍は強い個たちだとは思うのですが、厚木の東京都からそれなりに離れていても中心地になれるクソデカ求心力と矢倉沢往還の宿場町という歴史的にもやっぱりこの個が神奈川県央地域のTOPだと思ってしまいますね。あと、伊勢原と秦野は県央地域じゃないんですか…?県の定義的には湘南…?嘘だと言ってくれないか…?
KRSは定期的にこの東京都市圏中心地の一般市組に狂っています。他にもいろんな土地に向けて怪文章を書いて煩くなるので騒がしかったらあぁめっちゃ話したいんだなぁぐらいに思ってくれたらうれしいです…。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!