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静かに終わった俺の夏
アキレス腱が切れ、俺の陸上生活が終わった。アップもしっかりとしていたのになんで。どうしていつもこうなる。そんなことが頭をよぎる中ひとつの通知が来た。
俺が所属してる陸上の部長だ。
「くーくん、気持ちは落ち着いたか」
「ごめん、まだ落ち着きがない」
「そうか落ち着いたら言ってくれ、
会いに行きたい」
俺は部長の優しさにつくづく安心した
(昔からりうくん優しいな)
俺は部長と長い付き合いで小学校の頃俺が引越ししてきて初めに仲良くなった人だ
りうくんは俺がひとりで走り方を調べてた時に話しかけてきた。
「くーくん、何読んでるの」
「走り方の本を読んでるって、君誰」
「名乗り忘れてたね、僕の名前はりうた」
「よろしく」
「でさ、君も陸上してるの」
「そうだよ」
「なら仲間だ」
「え」
「同じところで戦う友達は仲間でしょ」
「友達って…」
「え、俺たち友達じゃないの」
「いやぁ…」
「ならこれしよ」
りうくんは小指を出てきた
「指切って、僕たちはこれからずっと親友って決めよう」
「りうくんが良ければ」
「りうくん」
「嫌だった、ごめん呼び方治すよ」
「いいよ、あだ名嬉しい」
「良かった」
「じゃあ、はい。指切り」
俺とりうくんの大切な約束
りうくんは今もそれを大切にしてくれてる
「くーくん、今から試合だから行ってくるね」
「りうくん、負けないでね
チームのためにも、俺のためにも」
「任せてよ」
まるで近くて遠い存在に見えたがそれでも落ち着く背中が脳裏に浮かんだ
そして約2時間経った頃
「くーくん」
「どうした」
涙ぐんだ声が聞こえた、嫌な予感がした
「僕…」
俺は唾を飲むほど緊張した
「県体決めたよ」
俺は声にならないほどの喜びを感じた
「本当に嬉しい、くーくんの分までやってくるよ」
涙ながらに言ってきて、俺も涙を流した
「まだここからだから泣かない」
涙ぐんだ声が自分から出てることに気づかず
「りうくん、県体前とか来れそうだったら来て」
「うん喜んで」
俺は無茶なお願いをしたが了承してくれた
「そうだあとこれ」
ひとつの写真が送られてきた
そこには、りうくんの後ろに俺が映っていた。
「僕は自己更新できたから、カメラマンが話しかけてきた。そんなに走れたのはなんでって聞かれてくーくんのおかげって言ったら。写真が欲しいって言われて、昔撮った写真を渡した。」
まただ、まぁネットにあげられなければいいけど
「やけんさ、これが僕もくーくんのお守りになったらいいな」
なんか手術も怖くなくなってきた
「りうくん、今度来たら話したいことある」
「わかった、また今度」
俺はその日が楽しみになった
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