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二人の物語は、激動の時代を経て、静かで温かな「再生」の季節へと移り変わる。壊れた国を、二人はどのように立て直していったのか。
王都の再建は、派手な儀式ではなく、瓦礫を片付ける音から始まった。
かつて「最強の剣士」と呼ばれた滉斗は、その鋭い氷剣を、今や建築のための資材を切り出し、重い石材を運ぶために使っていた。
「ひろぱ、少し休んで。ほら、お茶を淹れたよ」
元貴の声に、滉斗は汗を拭いながら足を止める。
二人の周りには、親を亡くした子供たちがまとわりついている。
「若井のおじちゃん、すごい! 氷で滑り台作って!」
「……おじちゃんと言うな。あと、これは遊び道具じゃない」
口では突き放しながらも、滉斗の作る氷の造形はどこか優しく、子供たちの笑い声を街に取り戻していった。
新しく生まれ変わったこの小さな共同体で、二人はかつての「国王」や「当主」という枠を超えた絆で結ばれていた。
元貴は、攻撃術を使わない代わりに、その慈愛の術で土壌を豊かにし、農作物を育て、傷ついた人々の心を癒やす。
滉斗は、外部からの略奪者から国を守る「盾」でありながら、内側ではインフラ整備や子供たちの教育を担う。
ある春の日。
二人は、決戦の地となったあの庭園に立っていた。
かつては血と氷に染まった場所でしたが、今では元貴が植えた花々が芽吹き、和と唐の様式が混ざり合った新しい四阿が建てられていた。
「ねえ、ひろぱ。あの日、ここで離れ離れになった時は、まさかこんな未来が来るなんて思わなかったね」
元貴が滉斗の肩に頭を預けると、滉斗は愛おしそうにその肩を抱き寄せた。
「ああ。……だが、俺は確信していた。どんなに離れても、俺の帰る場所はお前の隣だけだと」
二人の指には、質素ながらも光る、同じ細工の指輪がはめられています。それは、逃避行の果てに結ばれた二人の、永遠の誓いの証だった。
国としての規模は小さくなったかもしれない。
しかし、ここに残った人々は皆、自分の意志でこの「優しい王」と「不器用な守護者」を選んだ者たちだ。
夕暮れ時、街に明かりが灯り始める。
元貴が術で咲かせた夜桜が、滉斗の放つ微かな冷気でキラキラと輝き、幻想的な光景を作り出す。
「ひろぱ、これからもよろしくね」
「ああ。……一生、離さないと言っただろう」
二人の歩む道の先には、もう暗い影はない。
冷たい氷と、温かな光。
相反する二つの力が溶け合い、世界で一番優しい国を、二人はこれから何十年もかけて守り続けていくのだ。
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